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インタビュー

DAZZLE 4 LIFE


 頻繁に発せられる〈Keep Going〉〈Don't Stop〉というフレーズから、オフェンスに立って勝ちに行く姿勢が窺える――三重県志摩市出身のヒップホップ・ユニット、DAZZLE 4 LIFEのファースト・アルバム『NEVER GIVE UP』がこのたびリリースされた。過去数年間、ローライダー・ショウや全国各地のステージで培ってきたスキルとコネクションにより、DS455やBIG RONなどが所属するHOOD SOUNDにフックアップされた期待の新人。単独音源リリース前にも関わらず、数多くのコンピや先輩であるDS455のアルバムにも参加し、いまや日本のウェッサイ・シーンで絶大な注目を集める存在なのだ。

「幸運にもここまで来れたことをありがたく思いますし、いまはもうやるしかない!という気持ちでいっぱいです」(T-TRIPPIN')。

 ボーン・サグズン・ハーモニーらに影響を受けたという幼馴染みの2人が選んだ武器は、ヒップホップのなかでもとりわけ聴きやすいウェッサイ系。トークボックスを担当するT-TRIPPIN'は、その先駆者である故ロジャー・トラウトマンを尊敬しているとも話す。

「トークボックスは実際かなり難しいエフェクターで、いままでのステップでいちばん苦労した点です」(T-TRIPPIN')。

 そんな彼らのサウンドは真っ直ぐで余計な苦味がなく、メロディアスかつキャッチー。365日、いつ何時でも聴く者の気分をスムースに上げてくれる、とても爽やかで受け入れやすい仕上がりなのだ。声質も良く、安定したスタイルのラップとトークボックスという2人それぞれのバランスも絶妙で、彼らのセンスがきちんと発揮されている。

「言いたいことはすべてリリックに込めました。全部入魂の曲ですが、特に〈辛いことがあっても空と太陽でみんなが繋がっている、だからがんばろう〉という主旨で書いた“AMATERAS”という曲に思い入れがあります」(CMD)。

〈欲だらけのこの世の中の迷路に/迷い押し潰されねぇ様に/止まらねぇ雨なんてねぇHommie〉――この“AMATERAS”のヴァースから読み取ることのできるシンプルなメッセージに共感できない人はいないだろう。彼らの日常からナチュラルに吐き出される言葉は真っ当で、ホーミー(地元の仲間)やサポーターへの感謝、過去を省みながら未来の成功へかける熱い思いなど、聴き手に伝わりやすいリリックはきっと多くの人から支持されるはずだ。この先彼らの人生にもっと厚みが増す頃、そのスタイルがどう成長するのかも楽しみ。

「三重のヒップホップ・シーンをもっと盛り上げながら、OZROSAURUSやDS455、TWO-Jのようにビッグになりたいです。もっとブリンブリンになりたい(笑)」(CMD)。

「地元の人たちを含め、多くの人に支えられていることに本当に感謝しています」(T-TRIPPIN')と、いたって謙虚な構えも見せる彼ら。さて、今後の目標は?

「オーラや存在感のあるアーティストとして有名になることです。そして、いまやっていることをずっと続けられたら嬉しいですね」(T-TRIPPIN')。

「タイトルどおり、夢に向かって諦めないでほしいという『NEVER GIVE UP』のコンセプトは、もちろん自分たちに言い聞かせる意味も含めているので、これからもその目標に向かって進んでいきたいと思います」(CMD)。

 日本のウェッサイ・シーンに新風を吹かせるDAZZLE 4 LIFEが、ヒップホップ・ニュー・ジェネレーションの筆頭格であることは間違いない。

PROFILE

DAZZLE 4 LIFE
CMD(MC)とT-TRIPPIN'(トークボックス/トラックメイク)から成るヒップホップ・ユニット。2000年、三重県志摩市でCMDを中心として結成。メンバー交替などを経て2004年にT-TRIPPIN'が加入して現在の編成となる。伊勢のパーティー〈HOOD VILLE〉にレギュラー出演するほか、各地のイヴェントやローライダー・ショウでライヴを行い、徐々に評価を確立。2006年にHOOD SOUNDと契約してからは『GROOVE cruisin'』や『COAST II COAST』などのウェッサイ系コンピに楽曲を提供。2007年にはDS455の“STEP IN OUT”にフィーチャーされて話題となる。このたびファースト・アルバム『NEVER GIVE UP』(HOOD SOUND/Village Again)をリリースしたばかり。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2008年03月06日 22:00

ソース: 『bounce』 296号(2008/2/25)

文/アント