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インタビュー

SCOUTING FOR GIRLS

リズミカルな演奏とユニークな歌詞でじわじわと人気を集める3人組が、ついに日本上陸!


  バンド名を冠したファースト・アルバム『Scouting For Girls』がじわじわと人気を呼び、リリースから半年近くかけてUKチャート1位に到達。そんな注目を集めるロンドン発の3人組、スカウティング・フォー・ガールズを好きにならずにいられない理由としてまず挙げたいのは、ピアノをメインに据えた音作りのおもしろさだ。なにしろ彼らの奏でるピアノ・サウンドは、癒しや安らぎとは良い意味で正反対。ピョンピョン跳ねるようなリズミカルなタッチで、ポップな躍動感を連打する。フロントマンのロイ・ストライド(ヴォーカル/ピアノ/ギター:以下同)は、「オレのピアノはギターみたいなものなんだ。コードを叩き出す感じだね」と自身の演奏を分析。そして、こう続ける。

 「スカウティング・フォー・ガールズの曲は歌詞ありきで、ライヴでは観客との大合唱がお決まりなんだ。だから小さな会場でやると、ギターの音が大きすぎてヴォーカルが聴こえなくなってしまう。それでピアノを導入して、ハーモニーを強化したんだよ。リハーサルでピアノを使いはじめた時から、〈これだ!〉という確信はあったよ。素晴らしいことが起こりそうだという予感がしたんだ」。

 音楽は楽しいものじゃなきゃいけない──心の底からそう信じる3人だからこそ、彼ら自身も胸を張る歌詞にはわが身を削って暴露する(?)トホホな恋愛模様が満載だ。例えば、振り向いてくれない女子を慕い続ける様を、エルヴィス・プレスリー生存説を引き合いに出して、不可能を可能にするという信念として描き上げたり……。そんな笑えるからこそ切ない歌詞は、パルプ時代のジャーヴィス・コッカーにも通じる。つまり、UK産自虐ユーモアの真骨頂だ。

 「そもそもイギリス人は、〈最悪な事態なんだ〉と真顔では言わず、深刻にならないようユーモアを交えて話すんだ。リアルで誠実で、ハートのある歌詞をめざしてるよ」。

 スカウティング・フォー・ガールズの楽曲は、歌詞にも音にもハートがある。だから、日本人にもこれほど刺さってくるのかもね。

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カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2008年05月08日 00:00

更新: 2008年05月08日 17:38

ソース: 『bounce』 298号(2008/4/25)

文/妹沢 奈美