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インタビュー

土岐麻子

いくつになってもときめいていたい貴女に、夏のプレゼントです。夏がく~れば思い出す~♪ようなカヴァー集に胸キュン!


「これまで季節感を作品に出してこなかったんですけど、このアルバムがリリースされる6月は、気分が夏に向いていて楽しいですよね。フェスのチケットのことを考えたりして。だから、ある人のある年のBGMになっているような、聴いた人が強烈に自分の思い出を浮かべられそうな曲を選んだんです」。 

〈アラサー~団塊ジュニア〉世代の女性がウキウキすることを願って作られたという土岐麻子のニュー・ミニ・アルバム『Summerin'』は、タイトルどおりに完全夏志向のアルバムだ。ラテン・フレイヴァーをまぶした真心ブラザーズ“サマーヌード”、原曲と比べてガーリー度も2割増しの松田聖子“小麦色のマーメイド”、シュープリームスを意識したアレンジのフォー・トップス“Reach Out, I'll Be There”、ディープ・エキゾな雰囲気を持った意外性の高いマドンナ“La Isla Bonita”といった、軽やかにして大胆なカヴァー5曲+オリジナル2曲が収録されている。 

「私よりちょっと上の世代の女性は、大人になっても、女の子特有の〈弾けたい気持ち〉を持っているんです。セレブに憧れちゃうような、甘々なムードにキュンとくるような。そういう気分を満たす邦楽ってあんまりないんじゃないかと前から思っていて。だから、これを聴くと〈恋愛運が上がります〉と言える作品にしようと思って(笑)」。   

 川口大輔や奥田健介(NONA REEVES)、伊藤ゴロー(naomi & goro、moose hill)ら凄腕のプロデューサーが腕を振るった楽曲で聴かせる彼女の歌声は、いつもよりアッパーで楽しげだ。カヴァーはもとより、オリジナルでもそのテンションはキープされている。だが、本作のラストを飾る、大貫妙子“都会”のカヴァーではまた違う表情のヴォーカルが見えてくる。ピアノをメインとしたシンプルなアレンジからは、彼女のこの曲に対する思い入れがじんわりと伝わってくるはずだ。  

「〈その日暮らしはやめて/家へ帰ろう/一緒に〉というフレーズが凄いですよね。この歌詞の情景的な感じを活かして、映画音楽みたいに、ヴォーカルが消えても後奏で浸れるようなアレンジにしたんです。大貫さんご本人に聴かれるのは怖いけど、私なりに挑戦してみるだけの経緯があったので、誠実にカヴァーしてみました」。 

 キュートもクールも呑み込んだ土岐麻子の〈夏盤〉。男女問わず、〈夏が来れば思い出す〉一枚として、あなたの夏を彩る必需品になってくれる可能性は十分にあるはずだ。

▼土岐麻子の作品の一部を紹介。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2008年07月17日 02:00

更新: 2008年07月17日 18:27

ソース: 『bounce』 300号(2008/6/25)

文/ヤング係長