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インタビュー

VOLA&THE ORIENTAL MACHINE

 さらなる進化を求め、3人でリスタートを切った VOLA & THE ORIENTAL MACHINEが、メジャー第一弾EP『Halan'na-ca Darkside』を発表。ハランナカで煮えたぎる負のエネルギーを糧に全面攻撃を仕掛けた本作には、踊らずにはいられない奇想天外なダンス・ロックが満載だ!!

  彼らはいつだって前傾姿勢だ。フロアを沸騰させずにはおかないダンサブルなビートのなかに挑戦的なファイター気質を潜ませ、常に進化のときを狙っている。VOLA & THE ORIENTAL MACHINEのメジャー第一弾EP『Halan'na-ca Darkside』。リリース直前にあきらかとなったギタリスト・青木裕の脱退劇も、バンドの中心人物であるアヒト・イナザワ(ヴォーカル/ギター)が発表した声明文を読めば、さらなる発展を求めた結果であったことがよくわかる。

 「色んな事を計るあまりに、バンドの進化を止める事はできません」。

 その言葉を裏付けるように、本作では彼らの楽曲の特徴でもあるエキセントリックなフックが、攻め立てるようなグルーヴが、よりポップに、キャッチーに響いてくる。

 「前作のときはいろんなことを実験していて、そのぶんたくさんの要素を入れていたので、意図するところがちょっと薄くなったかなっていう気もするんですよ。だから、今回はそういうのを抑えた……っていうつもりはないんですけど、前作よりは、まだわかりやすいっちゅうか(笑)。単純に耳に残るような音だけを抜粋して、要所要所に当て嵌めていった感じですね。面白いところを厳選して、ピンスポットを当てた方がいいかなと。だから、個性的な部分がより際だって聴こえる、ということはあるかもしれないですね」。(アヒト・イナザワ、以下同)

 NUMBER GIRL~ZAZEN BOYS、downy、Syrup16などで名を馳せたメンバーで結成された彼らは、2006年にミニ・アルバム『WAITING FOR MY FOOD』を、翌年にはファースト・フル・アルバム『ANDROID ~like a house mannequin~』を発表。その間、世界的にはニューウェイヴ・リヴァイヴァル~ニューレイヴがロックとダンス・ミュージックのクロス・ポイントとしてシーンを席巻しており、踊れるロックを前提に〈新しさ〉へ向かって突き進んだ彼らもまた、図らずもその大きな潮流とリンクすることになる。

  その奔流が細分化されつつある現在、ダンス・ロックの最新モードとして提示された作品が本作だ。不穏なギター・リフとハウシーなイーヴン・キックが拮抗するインストゥルメンタル“S.E.”からアヒトによる遠吠え風のヴォーカリゼーションが印象的な“self-defense”へ。合間にコズミックなインタールードを挿入しつつ、ツイン・ギターによる好戦的な掛け合いとメロディアスなサビとのコントラストが強烈な“Double Standard”まで全9曲、20分50秒をノンストップで駆け抜ける本作では、奇想天外なアイディアがことごとくポップに落とし込まれており、どこをとっても〈新境地を切り拓く〉という意味でのニューウェイヴ感覚に溢れている。

 「たとえば〈これは普通シンセでやるよね〉っていうフレーズをギターでエフェクターかけてやったりとか、ベースやヴォーカルに置き換えたりすると、可能性が広がるっていうか、よりイビツで変なものが出来たりするんですよ。〈これ、ちょっと新しいな〉って思ったりする(笑)。やり方次第で、いろんなものが生まれてくるんですね。それはたぶん、70年代後半にパンクとか、何かしらの音楽に憧れた全然テクのないキッズたちが、〈あの音はどうやって出してるんだろう?〉って自分たちなりに〈ギャー!〉ってやってみたら、とてつもなく凄いものが生まれた、っていうニューウェイヴのエネルギーに繋がるんじゃないかな、って。そういう手法が大好きなんですよね(笑)」。

 そう、本作の根底に流れているのは未だ見ぬ世界への渇望と衝動。自然に身体が揺れるというよりは、焦燥感にかられて踊らずにはいられなくなる切迫したグルーヴとダイナミズムが、VOLAサウンドの独自性の一翼を担っている。

 「去年、これを作っていた頃はいろんなことに対してエネルギッシュな時期だったんですけど、それがマイナスかプラスかって言ったら、どっちかっていうとマイナスのエネルギーだったんですね。で、たとえばイライラしたりとか、マイナスになると攻撃性も増すと思うんですよ。歌詞にしても罵詈雑言を吐いているというか(笑)。この野郎とかあの野郎とか、クソったれとか思ったり(笑)。今回の作品は、マイナスな部分を原動力にして曲作りに反映させた感じです。音にしてもすごく攻撃的ですしね」。

 彼らが内に秘めている膨大なエネルギーは、衝突を繰り返すダンス・ミュージックとロックンロール双方のシーン――さらにはこの先、新たに生まれるであろう未開のシーンにおいて、絶え間ない地殻変動を起こしていくことだろう。本作は、そんな頼もしい開拓者たちの、現時点における鮮烈な記録である。

▼VOLA & THE ORIENTAL MACHINEの作品を紹介

▼ツアー情報
VOLA & THE ORIENTAL MACHINE Halan'na-ca Darkside TOUR 2008

日時/会場/共演:
11月3日(月・祝) open 17:30/start 18:00 茨城・水戸LIGHTHOUSE w/ MONICA URANGLASS
11月4日(火) open 18:30/start 19:00 栃木・宇都宮HEVEN'S ROCK VJ-2 w/ MONICE URANGLASS
11月6日(木) open 18:00/start 19:00 愛知・名古屋CLUB QUATTRO w/ the telephones
11月7日(金) open 18:00/start 18:30 京都磔磔 w/ the telephones
11月20日(木) open 18:30/start 19:00 千葉LOOK w/ MONICA URANGLASS
11月27日(木) open 18:30/start 19:00 岡山PEPPERLAND w/ Lillies and Remains
11月29日(土) open 17:00/start 18:00 福岡DRUM LOGOS w/「POLYSICS JAPAN TOUR 2008!!!! ULTRA FIGHT OR DIE!!!!」
11月30日(日) open 17:00/start 18:00 広島CLUB QUATTRO w/「POLYSICS JAPAN TOUR 2008!!!! ULTRA FIGHT OR DIE!!!!」
12月3日(水) open 18:00/start 19:00 大阪・心斎橋CLUB QUATTRO w/ 8otto
12月5日(金) open 18:00/start 19:00 東京・恵比寿LIQUIDROOM w/ MONICA URANGLASS、Lillies and Remains

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・VOLA &THE ORIENTAL MACHINE(インタヴュー/bounce誌 272号より転載)

カテゴリ : .com FLASH!

掲載: 2008年10月09日 18:00

更新: 2008年10月10日 15:39

文/土田 真弓