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インタビュー

ワックス・オンと無国籍ブレイクビーツの旅

 コロンビアに移住したクァンティックや、彼の属するトゥルー・ソーツの近作、あるいはニコデマス一派のゼブやピンプス・オブ・ジョイタイム、さらには独特のイミグラント情緒を音像化するベータ・ボデガの諸作……と、ビート職人たちがクロスカルチュラルなある種の〈無国籍サウンド〉で注目される機会がますます増えてきている。長いキャリアを誇るNOWが新作でそうした状況に共振していることは興味深いし、イビザ移住を経てジョージが本格始動させたワックス・オンの所属メンツもその嗜好を明確に示すものだろう。ガッツはフランス、チルアウト・コンピで常連のゲルカはハンガリー、タリブ・クウェリとの共演も懐かしいマケバ・ムーンサイクルはUS、クッキンからデビュー済みのマーセルはUK……とジョージの旅さながらの多国籍ぶり、かつ音は無国籍なのだからおもしろい。ここではそんなNOWと並べて楽しめる作品を紹介してみよう。
(出嶌孝次)
▼関連盤を紹介。


マーセルの2005年作『Gamblers' Delight』(Cookin')

GUTS 『Le Bienheureux』 Wax On(2007)
NOWが新たに立ち上げたレーベル、ワックス・オンのアルバム第1弾としてリリースされたガッツの初作。NOW直系の太くて煙たいビートメイキングにメロウなソウル・サンプルがバッチリはまったチルアウト・ヒップホップです。

『Nightmares On Wax Presents Wax On Records』 Wax On(2008)
ガッツ以外は初CD化の音源となる、ワックス・オンのショウケース・コンピ。NOWチルドレン大集合といった感じのメロウなチル・ビーツばかりで、アルバムも間近なゲルカなど新しい才能がチェックできます。

ZEB 『Zeb Step』 RUDIMENTS(2008)
NYのワンダーウィールよりオリエンタル~アフロなブレイクビーツやハウスをリリースしてきたゼブの最新アルバム。乗っかっている音がどうであろうと、ボトムはやっぱりレゲエ/ダブというのがNOWと共通するところでしょうか。

QUANTIC PRESENTA FLOWERING INFERNO 『Death Of The Revolution』 Tru Thoughts(2008)
ヒップホップ→レゲエ/ダブ→世界中のルーツ音楽……と何となくNOWと同じ軌跡を辿っているようにも思えるクァンティック。この新作はグッとラテン・ジャズ&レゲエ寄りにシフトしています。

UP, BUSTLE & OUT 『Istanbul's Secrets』 Collision(2007)
NOWとたぶん同じくらいのキャリアを持ち、旅から旅へと世界を渡り歩くジプシー楽団。アルバムを出すごとにその表現を変えてきましたが、NOWと同じく根っこにあるのはやはりヒップホップとダブの手法です。

YAM YAM 『Eatdubafrobeat』 Big Chill(2007)
ワンダーウィールの前身=コデックから作品を出していたヤム・ヤムのアルバム。NOWの新作にもあるちょいと陽気でリラックスした雰囲気に、アフロビートのエッセンスを加えて軽くダビーにしたトロピカルな作品です。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2008年10月23日 21:00

ソース: 『bounce』 303号(2008/9/25)

文/櫻井 誠

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