インタビュー

Morrissey

心の葛藤を描き続けるロック界屈指の詩人が、音楽シーンへの不満をブチまけたぞ!!


  2年ぶり、モリッシーの9枚目となるソロ・アルバム『Years Of Refusal』が完成した。パワフルなサウンドに自信溢れるヴォーカルが明晰に鳴り響く内容で、ソロ作品のなかではもっともヘヴィーなロック・アルバムといえるかも知れない。

「自分自身驚いているんだよ。凄くテンションを上げて歌えたからね。いまだに僕のなかには音楽産業に対する不満があるし、強い怒りが僕を駆り立てるんだよ」。

 スミスのヴォーカリストとしてカリスマ的な人気を確立したモリッシー。若者の心の葛藤や愛への熱望、落胆や社会への不満、ユーモアと機知に溢れる歌詞を紡ぐ彼は、20世紀UKロック界が生んだ最大の詩人といえるだろう。

  「若い時、自分の人生はある日突然変わる、まったく違った人生が待ち受けていると期待するんだ。経験から学んだことは、大人になるというのは苦い体験をし、自分は孤独、たったひとりで死ぬ……ということに気がつくことだ」。

 新作について訊ねると、こんな答えが返ってきた。デビューから25年以上たったいまも、彼の書く歌詞は初期の頃のひらめきを失わず、常に若いファンの心を掴み続けている。

「音楽シーンの状況は変わった。70年代の頃は音楽をやる人間なんて尋常ではない、特別な人間だと思われた。ところがいまや誰もがロックスターみたいな格好をして自分のCDを作る時代。意味のない音楽が氾濫するようになったね」と現代を嘆き、頑固に古き良きロックを支持する面も。スミスと言えば、80年代UKインディー・シーンから輩出された最大のバンド。「現在インディーだと自称するバンドは多いが、全然そうじゃない。独立性も個性もないバンドが多い。インディーという言葉は、もうかなり前から意味を持たなくなったんだ」とコメントする。

「僕はメジャー・レーべルと契約しているが、インディペンデントなスピリットは失っていないと思う。僕のやることはインディペンデントだと信じているんだ。僕はこれまで音楽産業の一部になったことはなかった。これまで常にノーと言い続け、拒否し続けてきた。ニュー・アルバム『Years Of Refusal』は、僕の音楽人生を象徴した〈言葉〉なんだよ」。

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掲載: 2009年03月05日 19:00

ソース: 『bounce』 307号(2009/2/25)

文/高野 裕子