インタビュー

バニラビーンズ

北欧からお越し……だという2人が歌うラヴリーなポップスと愛すべきキャラに夢中!


  カーディガンズをはじめとしたスウェディッシュ・ポップがブームとなったのは15年ほど前のこと。時代は繰り返すというが、彼女たちの登場を機にまたも北欧へと目が向けられることになるかも――そう思わせるきっかけこそ、レナとリサから成るバニラビーンズだ。カラフルでキッチュな清々しいポップ・サウンドとマリメッコ(フィンランドのブランド)のアイテムのように鮮やかな配色の衣装、そのキーワードはまぎれもなくかの地なのだが、当の2人は「その場所は最近知りました」(レナ)、「北欧音楽と言われてもわからなかった」(リサ)と、あっけらかん。さらに「北欧の風に乗って日本にやってきた……というのは設定です(笑)」(レナ)と、いとも簡単に手の内を見せてしまう天然ぶりだ。とはいえ、彼女たちのファースト・アルバム『バニラビーンズ』を侮るなかれ。いわゆるスウェディッシュ・ポップ然としたオーガニックなサウンドでありながら、メロディーには歌謡曲テイストも織り込まれ、その音楽性はかつてのピチカート・ファイヴともシンクロする。

「バニラビーンズのコンセプトのひとつに〈オシャレトロ〉というのがあるんですけど、私たちはそのレトロな感覚ってわからないんです。子供の頃は当時流行っていたJ-Popばかり聴いてたせいか、バニビの音楽はむしろ新鮮に感じます」(レナ)。

 収録曲すべてが未知の世界だという彼女たちは、今回“バニラード”で初めて作詞に挑戦。曲は昨年小西康陽のプロデュースでアルバムを発表したbiceによるものだ。

「歌詞は、〈ありがとう〉をテーマに手紙を書いてみて、と言われて2人別々で書いたものをひとつにまとめてもらったんです。普段言えないことを、こうして歌にして伝えられるのはいいなって思いました」(リサ)。

「でも実はbiceさんがシンガーの方だってことを知らなくてビックリしたんですよ」(レナ)。

 ヘンに背伸びをすることなく、知らないことは知らないと言える素直さも魅力。またそんな彼女たちを熱心にサポートする掟ポルシェ(ロマンポルシェ。)が、Dr.USUI(MOTOCOMPO)と手掛けた“Shopping☆Kirari”などのリミックスも収録されている。「掟さんたちのおかげでバニビの曲がリニューアルしちゃいました」(リサ)と言いつつ、「でも私リミックスはあまり聴かないんですよね……。掟さんも嘆いてます」(レナ)なんて、大人は思わず苦笑いな発言さえご愛敬と許されてしまうキャラにもますます注目が集まるはず!

▼『バニラビーンズ』に参加したアーティストの作品を紹介。

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掲載: 2009年03月12日 15:00

更新: 2009年03月12日 17:54

ソース: 『bounce』 307号(2009/2/25)

文/片貝 久美子