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インタビュー

レイ・ハラカミのコラボ・ワーク

 レイ・ハラカミの、膨大かつ多岐に渡るリミックス/リアレンジ/プロデュースをまとめたのが、今回リリースされた『あさげ selected re-mix & re-arrengement works / 1』と『ゆうげ selected re-mix & re-arrengement works / 2』。この2枚と、ハラカミ&矢野顕子=yanokamiの作品群を聴けば、彼のコラボ作は、ほぼ網羅できちゃいます。ここでは〈あさげ〉盤と〈ゆうげ〉盤を全曲解説。さらにyanokami作品もおさらいします。

『あさげ selected re-mix & re-arrengement works / 1』 ミュージックマイン

1. curved flow(rei harakami path mix)/Flare(『Re-grip』収録)
  ケン・イシイ=Flareのリミックスながら、実質的なデビュー曲。柔らかな電子音を漂わせるハラカミ節が早くも炸裂しまくっている事実に驚愕!
2. Alien to whome?(rei harakami mix)/MAX BRENNAN(“Old codger remixes EP”収録)
  原曲のブレイクビーツを活かして、ミニマル&トランシーなデトロイト風トラックに。比較的ストレートなテクノ色が逆に新鮮。
3. sabre(rei harakami remix)/Child's View(“サブレとグリルのEP”収録)
  原曲は竹村延和の手によるエレクトロニカ・ドラムンベース。性急なビートと静寂とが交互に押し寄せ、ドリーミーな世界が描かれていく。
4. Pone/rei harakami(『ブギーポップは笑わない~Boogiepop Phantom OST』収録)
  アニメ「ブギーポップは笑わない」のサントラへの提供曲。静謐かつクラシカルな趣を湛えたアンビエント・チューン。
5. Lane(rei harakami mix)/Tanzmuzik(“Western Cos EP”収録)
  初期の国産テクノ界をリードしたデュオの楽曲をリミックス。可憐なエレクトロニカから四つ打ちへと変容していく、ハラカミには珍しい展開のナンバー。
6. Art Farmer Rei Harakami Remix/Soft(『Art Farmer Remixes』収録)
  Softが持つトランシーなアンサンブルを随所で挿入し、多彩な展開を盛り込んだ長尺チューン。ヘッド・ハンターズ的なファンクネスが浮かび上がる場面が楽しい。
7. red curb again/rei harakami(“red curb again ep”収録)
  ハラカミの代表曲のひとつ“red curb”を自ら再構築。捩れたアルペジオと軽やかに躍動するビートが、どこまでも美しく絡み合う。
8. skyline/suzukiski + rei harakami(“Action EP”収録)
  盟友、suzukiskiとの共作ナンバー。不穏な電子音とビートがひたすら寄せては返す、奇妙な味わいのエクスペリメンタル・トラック。
9. Jippun/ASA-CHANG&巡礼(『つきねぷ』収録)
  唯一無二のアブストラクト・ポップ・トリオとのコラボ作。タブラのビートを主軸に、ドラマティクなサウンドスケープを展開。
10. Pan American Beef Stake Art Federations Rei Harakami 餅米 Re-Arrenge(メッセージ付)/Date Course Pentagon Royal Garden(『DCPRG3』収録)
  菊地成孔率いるDCPRGきっての問題作に、さらなる〈問題〉を投与した奇っ怪極まるリアレンジ曲。繰り返される〈餅米メッセージ〉は一体??
11. own cake/rei harakami(『GARCIA MARQUEZ gauche PREMIUM BOOK vol.1』収録)
  アパレル・ブランド、GARCIA MARQUEZが刊行した書籍の特典CDに提供された楽曲。ジャズ・ロック的ムードを纏ったアッパー・チューン。

『ゆうげ selected re-mix & re-arrengement works / 2』 ミュージックマイン

1. Bee Rei Harakami REMIX/Great 3(“Sitios ep”収録)
  ポスト・ロック風味のポップ・チューンを、ハラカミ・サウンドに無理なく改変。オートチューン・ヴォーカルが優しくたゆたう。
2. 二十螺旋(Re-mixed by Rei Harakami)/Electrical Lovers(“Nijyu Rasen (EP)”収録)
  優雅なエレクトロニック・ワルツ。Chihiro嬢のウィスパー・ヴォイスとハラカミの繊細な電子音とが心地良く絡み合う。
3. 流星より愛をこめて「流星メドレーVer.」 -Rearrenged By Rei Harakami/イルリメ(“流星より愛をこめて”収録)
  イルリメのリリカルな側面を汲み上げたナイスなリアレンジ曲。ループを拒み、ひたすら場面展開していくサウンドがハラカミならでは。
4. ばらの花 ~remixed by Rei Harakami/くるり(『WORLD'S END SUPERNOVA』収録)
  くるりの代表曲をリミックス。原曲の叙情性をエレクトロニックに増幅してみせた手腕に、多くのロック・リスナーが魅了されたはず。
5. 閃光/UA(“閃光”収録)
  プロデュースを手がけたシングル曲。ハラカミのポップ・センスが最大限に発揮された圧巻のバラード。
6. U-REI ~REI HARAKAMI remix/NUMBER GIRL(V.A.『至福刑事 Vol.2』収録)
  かねてからファンだったというNUMBER GIRLとの異種格闘技的コラボ。ハラカミ・ワークの中でも類を見ないパンキッシュな仕上がり。
7. あたらしい花/ASA-CHANG&巡礼(『つきねぷ』収録)
  ASA-CHANG&巡礼の名を世界に知らしめた代表曲をリアレンジ。ポツポツとつぶやかれる言葉と電子音とがリズミカルに寄り添う。
8. Oh Baby Plus/Great 3(『SINGLES 1994-2002』収録)
  Great 3きっての美麗バラードをリアレンジ。原曲の世界観はそのままに、原曲とは微妙に異なる風景を絶妙に挿入する仕事ぶりが素晴らしい!
9. 迷子の鳥/CHOCOLAT(『Chocolate Notes』収録)
  可憐&ナチュラルな歌姫をプロデュース。エッジの立ったビートを敷き、その上に繊細なハーモニーをふわりと浮かべてみせている。
10. Chocolate Notes ドレミファソラ/CHOCOLAT(『Chocolate Notes』収録)
  前曲に引き続いてのプロデュース仕事。童謡のように素朴なメロディーを活かし、トイ・ポップ風味の楽曲に仕上げている。
11. Senaka/ASA-CHANG&巡礼(『みんなのジュンレイ』収録)
  ASA-CHANG&巡礼との再度のコラボレーション作。“あたらしい花”同様、自由気ままな足どりのリズムが楽しい。
12. 虚離より/二階堂和美(『二階堂和美のアルバム』収録)
  イルリメのプロデュースしたアルバムの1曲を担当。いつもの強烈なハラカミ節を抑え、主役の個性を前面に押し出したプロダクションが光る。

yanokami

 ソロ・コンサートやフェスなどで幾度もの共演を果たしてきたハラカミと矢野顕子が、その成果を作品として結実させたのが、yanokami名義による2007年作『yanokami』だ。本作では、矢野のソロ曲を中心に、細野晴臣のナンバーやスタンダード・ポップスなどをカヴァー。独特のメロディー/リズム解釈を展開する矢野の歌声と、自在に舞うハラカミの電子音とが溶け合い、相性バッチリのアンサンブルを聴かせてくれている。さらに、2008年には『yanokami』の英語ヴァージョン『yanokamick』もリリース。こちらは、新曲“Montauk”と、くるり“ばらの花”カヴァーのライヴ音源も追加収録された、嬉しい一枚となっている。

カテゴリ : .com FLASH!

掲載: 2009年03月19日 18:00

更新: 2009年03月23日 15:01

文/澤田 大輔