インタビュー

児玉奈央

YoLeYoLeを離れて再出発した彼女が綴る、新たな道を示す音と歌い手としての決意


  2007年12月、惜しまれながら活動を休止したYoLeYoLe。フラット・マンドリンとアコースティック・ギターのシンプルながら温かな音に乗せて、伸びやかで個性的な歌声を聴かせてくれたヴォーカルのnaoが、〈シンガー・ソングライター、児玉奈央〉として活動を再スタートさせ、ファースト・ソロ・アルバム『MAKER』をリリースする。彼女は昨年、Caravanやハナレグミでの活動も知られるパーカッショニスト、Pすけ(Peace-K)のソロ・アルバム『Peace Tree』に参加し、夏には彼と共にツアーを回るなどしながらコツコツと曲を作り続けていたという。

「曲を作りはじめたのは、Yo-LeYoLeの休止を発表した2007年10月のこと。その翌年の6月に今回のアルバム・タイトルにもなっている“MAKER”が生まれたんです」。

 これからもずっと歌い続けていく、という彼女の決心が込められているこの曲は、アコースティック・ギターのシンプルなカッティングに乗せたソウルフルな歌声を中心に、バックに佐藤克彦のスライド・ギターがフィードバックしながら鳴り、ドラムのフィルインから壮大に広がっていく。このフィードバックを起用し、曲にちょっとしたスパイスを与えたのはサウンド・エンジニアのパードン木村だ。

 先述のPすけや佐藤克彦に加え、本作に参加したのは、GOMA & THE JUNGLE RHYTHM SECTIONなどセッション経験も豊かな椎野恭一(ドラムス)や、lakeのメンバーでありCaravanのバンドでもお馴染みの伊賀航(ベース)、そしてグッドラックヘイワの野村卓史(キーボード)など錚々たる面々だ。

「アルバムをいっしょに作っていくメンバーは、私の曲が言いたいことを音でちゃんと伝えてくれる人たちにお願いしました。卓史とは学校の同級生だし、Pちゃんや伊賀さんとはいつもいっしょにセッションしているし。みんなが私の歌をちゃんと聴いてくれて、こちらが想像する以上に曲を膨らませてくれるのが嬉しかった。特に卓史のキーボードが入ることで、音が渋くなりすぎずに〈いまの音〉って感じに仕上がったと思ってます」。

 音がヘヴィーな表題曲や、ポップでメロディアスなキーボードが印象的な“名前なんて”、歌声のまわりをアコースティック・ギターが静かに漂うような“ちがうよ”など、収録された9曲はそれぞれに表情が違う。

「今回は自分が好きなソングブックみたいに、何回も聴きたくなっちゃうようなアルバムにしたかったんです」。

『MAKER』は新しい道を歩きはじめた児玉奈央が綴る、音のタペストリーのような作品だ。

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掲載: 2009年03月19日 01:00

更新: 2009年03月19日 17:49

ソース: 『bounce』 307号(2009/2/25)

文/すぎもと まさひろ