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インタビュー

rega 『Million』 SOPHORI FIELD/colla



  「バンドはメンバーの住所が近いことが大切」と坂本慎太郎(ゆらゆら帝国)が雑誌で語っていたが、愛媛出身の4人(つまりはご近所!?)が結成したregaのファースト・フル・アルバムにも坂本の説を裏付けるような独特のテイストがある。彼らの演奏は、親しい友人同士が会話をするように音と音が掛け合い、重なり合って楽曲を織り上げていくもの。ツイン・ギターとベースがフレーズを反復して熱を高めていく構造だが、regaはあくまでもすべての音を手弾きする。結果、ダンス・ミュージックにおける繰り返しの快感が、ここではリズムの揺らぎによるスリリングでダイナミックな昂揚に直結している。マーズ・ヴォルタやバトルスのように複雑怪奇なリズムを披露したかと思えば、SPECIAL OTHERSを彷彿とさせる人懐っこいメロディーを奏でたり(もともとはヴォーカリストも在籍したregaが、メロディー志向なのは間違いないと思う)――まったく表情が異なるフレーズやテーマを、彼らは細部まで練り込まれたアレンジでスムースに展開するのだ。

そもそも、彼らはジャム・バンドというほど長尺の即興があるわけではなく、昨今のポスト・ロックと呼ばれるバンドたちとも異なる。フレージングも独特で、音楽的なルーツがわかりづらいあたりも新世代のバンドらしい。思い切りの良い演奏が開放的で、ちょっといなたくて、時折飛び出すヘンテコな音作りが楽しい――そんな、さり気なくトリッキーな存在が、regaではないかと思う。

カテゴリ : ニューフェイズ

掲載: 2009年04月09日 16:00

更新: 2009年04月09日 19:28

文/鬼頭 隆生

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