インタビュー

IDA MARIA

噂の彼女が日本見参! コケティッシュな声と疾走ロックンロール、この取り合わせはクセになる!


  「いろんな音が色になって見えるの。だからあまりコンサートにも、ラウドな音が氾濫しているところにも行かない。〈共感覚〉というものなんだけど、母も同じなの。遺伝なのよね」。

 このように共感覚について語ってくれたイーダ・マリア。スティーヴィー・ワンダーやレオナルド・ダ・ヴィンチと同じ症状を持つ彼女は、ノルウェー出身の24歳。ファースト・アルバム『Fortless 'Round My Heart』が日本盤化されたばかりだ。

「子供の頃は山に登ったり、川でカヌーしたり自然のなかで過ごすことが多かったわ」。

 人口1800人程度という森と湖に囲まれたノルウェー北部のネスナ村で育った彼女が鳴らすのは、何とラウドで、ちょぴりクレイジーで、それいて心にキュンと響くパンキッシュなロックだ。「若い女性としての気持ちを心の底から正直に伝えるアルバムが作りたかった」と語る本作に収められた全14曲は、自身の体験を独創的なアングルから綴ったものばかり。

「“Stella”は神様が寂しくなって、経験豊かな友達を求めるという歌なの。ベルゲンのホームレス施設で出会った人々がインスピレーションになっている」。

 聖歌隊で歌う母、バンドをやっていたという父に育てられ、子供の頃からさまざまな楽器を家で楽しく弾いていたという彼女。16歳でベルゲンにある音楽専門学校へ入学した後、スウェーデンの音楽大学に進学。そこでバンドを組み、結成直後に参加した地元の新人バンド・コンテストでの優勝を経てノルウェー全土をツアーで回ることに。そしてソロ転向後に発表した2枚のシングルで人気が爆発し、あれよあれよとUKのレーベルと契約。今回の世界デビューとなった。

「音楽は生活の一部だったから、音楽をやろうと決心したことはないの。世界を旅したいと思っていたから、音楽をやりながら外国に行けるのは本当に素晴らしいわ。でも同時に、世界を旅していると家が恋しくなるけれど」。

 ここ数年住んでいたスウェーデンを離れ、最近故郷に住居を移したとのこと。いま彼女は家族や友達に囲まれながら音楽作りに励んでいる。

「さまざまなことが世界中で起こっている。それに対して強い感情が湧くのは避けられない。でも政治的な曲は書きたくないし、いまその気持ちを解放するべきなのか、それとも自分の内に抑えておくべきなのか迷っているの」。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2009年04月09日 00:00

更新: 2009年04月09日 17:49

ソース: 『bounce』 308号(2009/3/25)

文/高野 裕子