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インタビュー

my way my love

やっとそのスゴさに気付いたの? 遅いよ! ――なんてね。日本に拠点を移して約3年、研ぎ澄まされた彼らのロックはいまが聴き時です!


  2006年から、主戦場にしていたUSに加えて日本でも精力的な活動を展開している3人組、MY WAY MY LOVE(以下MWML)。欧米のタフな環境で培われた彼らのライヴ・パフォーマンスは日本のオーディエンスを魅了し、リスナーを増やしている。

「バンドの状況的にも、僕らが日本で活動するにはとても良い時期だと判断したんです。やはり日本での活動は、メンバーみんなが熱中していますね」(yukio murata、ヴォーカル/ギター:以下同)。

 2000年に結成し、2004年にUSのファイル13とレーベル契約を交わした彼ら。過激なギター・ノイズが炸裂するオルタナやシューゲイザー、ポスト・ロックなどの要素を取り込んだサウンドとアグレッシヴなステージが評判を呼び、2006年には〈SXSW〉にも参加している。ツアーに次ぐツアーという狂騒的な活動のなかでどんどん自信を深め、どこの国でも通用するロックを磨いてきた。

「どこの国でも口癖のように〈最近はCDが売れない〉という話をしていますよね。それは、実態の掴めない存在にただ怯えているように見えるんですよ。でも僕は、いまこそシーンの中心に躍り出るチャンスだと思った。MWMLには、その資格があると思いますから」。

 2007年以降は毎年コンスタントに作品を発表してきたが、最新作『I'll Cure You With Electricity』はいままででもっとも自己探求的なサウンドを鳴らしている。無駄を徹底的に削ぎ落とし、本質を剥き出しにしたソリッドなバンド・サウンドだ。

「1枚目、2枚目の時は、僕らの持っているものをすべて吐き出してやろうと思ったんです。でも今回はとことん余計なものを削ぎ落としたかった。それでもMWMLの世界観を保てるのかが課題でしたね。だから余計に一音一音が重要になったし、乗せる音の選択にも時間をかけました」。

 そのストイックなまでに音を練成する作業には、バンドを取り巻く人々との関係も重要だという。

「人間関係が密になるほど刺激が弱くなってくる。でもお互いがお互いを感動させたいと思ったり、相手を驚かせたいという、ある意味真面目な思いが重要なんです。バンド・メンバーやスタッフを驚かせることができないのなら、熱心な音楽ファンを驚かすことなんて無理だから。突拍子もない閃きが大切です」。

「世界的に見てもハイレヴェルな音楽を生み出すバンドであることは、まず間違いないと思っています。良い音楽を探している人にとって、満足してもらえる作品になったという自負があります」と、静かに淡々と語る彼の目には、やはり確固たる自信に満ちた輝きがあった。

▼MY WAY MY LOVEの作品を紹介。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2009年04月30日 16:00

ソース: 『bounce』 309号(2009/4/25)

文/冨田 明宏