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インタビュー

FLO RIDA

Hustle With Muscles - 2009年を代表する一曲になりそうな“Right Round”で、あの“Low”すらもあっさり超えてしまったフロウ・ライダー。超ポップでキャッチーな新作は、またもアフリカから日本のお茶の間までを席巻するだロウ!!


 「昨年、アフリカに行って凄く感動したんだ。その経験によって自分の考え方がすっかり変わったね。アフリカに行ったことで自分のルーツを強く感じることができたし、厳しい生活にあえいでいる人たちが大勢いる現実を目の当たりにした。今回のアルバムではそういうことを表現しようと思ったんだ」。

 2008年の全米年間チャートを制した“Low”の余韻がまだ尾を引くなか、早いタイミングで届けられたフロウ・ライダーのセカンド・アルバム『R.O.O.T.S.』。〈Routes Of Overcoming The Struggle〉を略したタイトルは下積み時代の苦闘とアフリカン・アメリカンとしての誇りを意味するもので、前作に比べるとシリアスな題材の曲も多くなっている。

「俺はリスナーにポジティヴなメッセージを伝えていきたいし、人々から尊敬されるような人間になりたいと思ってる。売れたことによって、自分がロールモデルになろうって意識が強くなったね」。

 もっとも、アルバムのコンセプトこそ重厚なところがあるものの、音楽的には前作と同様に明快で親しみやすいダンス・トラックが軸になっている。本人の言葉を借りるならば「ハイエナジーでみんなに楽しんでもらえるアルバム」。デッド・オア・アライヴ“You Spin Me Round(Like A Record)”を引用した自身2曲目の全米No.1ヒット“Right Round”はその真骨頂といえる楽曲だ。

「“Right Round”は、アヴリル・ラヴィーン“Girlfriend”やケイティ・ペリー“I Kissed A Girl”を手掛けたDrルークの制作。自分の音楽性の幅を広げたくてこの曲をシングルに選んだんだ。常に自分を磨いて、さらにレヴェルを上げていきたいと思ってるよ」。

 別に誇張でもなんでもない。アルバムを聴いていると、いったいここからどれだけのシングル・ヒットが生まれるのだろう、とわくわくしてくる。一連のフロリダ産メロウ・チューンの流れを汲むニーヨとのコラボ“Be On You”、“In The Ayer”に続く正調オールド・スクール・ベース“Gotta Get It(Dancer)”、エイコンのサポートも光るウィル・アイ・アム制作のファンキー・エレクトロ“Available”、ネリー・ファータドを迎えた煽動的なシンセ・バンガー“Jump”、そしてウィズ・カリーファ“Say Yeah”やT.I.の“Live Your Life”に続くユーロ・ダンス使いとして話題を集めそうな、エッフェル65“Blue(Da Ba Dee)”ネタの“Sugar”なんて飛び道具もある。

「今回の新作では、アーティストとしての自分を確立したいと思ってる。自分にとって、ヒット・アルバムを出せたことはまだ目的の50%を達成したにすぎないんだ。自分のメッセージを伝えて、自分をちゃんと確立することが残りの50%だと思ってる」。

 フロウ・ライダーが〈残りの50%〉をクリアするのは、もはや時間の問題だろう。全米チャートのTOP3に食い込むようなビッグ・チューンがあと1曲でも誕生したら、彼はかつてのネリーに比肩するヘヴィー・ヒッターになれるかもしれない。

▼フロウ・ライダーが参加した近作を紹介。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2009年05月21日 02:00

更新: 2009年05月21日 17:22

ソース: 『bounce』 309号(2009/4/25)

文/高橋 芳朗