インタビュー

たむらぱん

彼女のチャームが存分に発揮されたニュー・アルバムは、まさに知ったもん勝ち!


  昨年はデビュー・アルバム『ブタベスト』のリリースだけでなく、Shing02『歪曲』へのゲスト参加(人生初のラップに挑戦)や、イラストレーターとして劇場アニメ「鉄コン筋クリート」でも知られるSTUDIO4℃とのコラボでPVを製作するなど、多岐に渡る活動を精力的に行ってきたたむらぱん。「新しい出会いやおもしろい経験がたくさんあって、それによって技術的にも精神的にも向上できた1年でした」と語る通りの充実した状況のなかで制作されたのが、待望のニュー・アルバム『ノウニウノウン』だ。シングル“ハレーション”“ゼロ”などお馴染みのピアノを効果的に使った軽やかな楽曲に加え、変則的なリズムとギター中心のアレンジが印象的な“十人十色”や、おもちゃ箱をひっくり返したように賑やかな音に乗せて皮肉たっぷりの歌詞を歌う“チョップ”など、実に振り幅の広い13曲が収録されている。

 「“十人十色”と“チョップ”、それから“恋は四角”は絶対(アルバムに)入れたかったんです。特に“恋は四角”なんかはだいぶ前に花魁をイメージして書いた曲なんですけど、自分のイメージ通りに作ることができたのはいまだからこそだと思うんですよね。他にも以前はできないことができるようになったり、これまで気付かなかったことに気付いたり……とにかく制作中はいろんな発見がありました」。

 『ノウニウノウン』というタイトルも、この〈気付き〉に触発されての命名だという。

 「〈know〉の不規則変化〈know-knew-known〉をカタカナで繋げました。私にとってこのアルバムは自分も知らなかった自分に気付くだけじゃなくて、自分を認められるような一枚になったんです。だから聴いてくれる人にとっても自身を振り返るきっかけになる存在になればいいなと思って」。

 続けて「それに、一見何のことだかわからないほうが楽しいじゃないですか」と笑う。こうした楽しさは作品の随所に見られるが、その心は冒頭の“ジェットコースター”に集約された。

 「世の中イイことばかりじゃないけど、例え悪い時でもどうせなら楽しんじゃったほうが得だと思うんです。〈世の中楽しんだもん勝ち〉っていう歌詞がテーマになってます。しかもこれは念願のツーバスを入れてみたりとか、自分の欲をすべて詰め込んだ曲でもあるので個人的にとことん楽しみながら作りました」。

 さらに初回限定盤は11曲分のPVのほか、ジャケットも〈ひろがるたむらぱん仕様〉というまたもや謎の仕掛け(!?)も。「いまとなってはこれがいちばん大変な作業でした(笑)」と語るその中身は、ケースを開けてのお楽しみ!

▼たむらぱんの作品を紹介。

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掲載: 2009年06月03日 17:00

更新: 2009年06月03日 17:13

ソース: 『bounce』 310号(2009/5/25)

文/片貝 久美子