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インタビュー

GENERAL HEAD MOUNTAIN(2)

メンバー間の隙間を埋め尽くすギューっとしたサウンド

――確かにGENERAL HEAD MOUNTAINはすごく全体の音が凝縮されたようなバンド・サウンドを鳴らしていますね。そういう、狭い空間に音を詰め込んだものをやりたいと思ったのはなぜでしょう?

松尾 とりあえず、もうそういうふうにやらざるを得ないんですよね。友達でもなんでもない奴らが3人集まってやってるんで。で、基本的に僕はワガママなので、自分のことしか言わないんですよ、音楽に対しても。で、他の2人が合わせる。そうなると、窮屈なやつを作らないと隙間ができてしまう。それを突き詰めようと思ってギューっとなっていったんですけど。

――なるほど。じゃあ、メロディーと歌詞だけだったら、弾き語りでも成立する?

松尾 成立しますね。僕、一人でアコギで曲作るんですよ。それはそれで完成してるんですけど、バンドをやってるんで、それ用に作り直して持っていきますね。

――サウンド面で言えば、今回のアルバムではストリングスが採り入れられていますよね。

松尾 僕、曲を作る時って、最近そういうストリングスの音がよく(頭のなかで)鳴ったりするんです。基本、全曲そうなんですよ。でもスリー・ピースのバンドだからそういうわけにもいかないじゃないですか。だから必要なところだけ使ってる。

――アルバムの収録曲についても訊いていこうと思いますけれども。ラストの“足音”という曲は、いままでにはなかったタイプの曲ですよね。切迫感ではなく温かい情景が描かれているという。

松尾 これは夕暮れの歌ですね。この曲は「大人になってしまったなあ」という結論なんです。だから歌詞にもそう書いたんですけど。なんか、いろんなものに対して、柔らかくなりました。たとえば両親だったり、旧友だったりに、ちょっと優しくなりました(笑)。

――それまでの自分はどうだったんでしょう?

松尾 周りを何も気にしてなかったです。「死ね、死ね」みたいに思ってました(笑)。さすがに親には思ってなかったけど。

――なんなんでしょうね、その苛立ちは?

松尾 なんなんですかね? それがわかれば、たぶん僕、音楽やってないです(笑)。普通に働いてるんじゃないですかね。

――歌詞を書いて曲を作ることで、その苛立ちを解放できている感じはします?

松尾 いや、より高まってる気がするんですよね。ライヴでも「なんでお前ら聴いてんだよ」って思ったこともあるし。「こっち見んな」みたいな。ステージの上にいれば、そりゃ見ますよね(笑)。いろんな葛藤がありましたけど、結局なんだかわからないですね。

――では、今回のアルバムのタイトル『木漏れ日にツキル』は、どういう由来から生まれてきたんでしょうか?

松尾 “足音”という曲が出来たのがきっかけですね。これ、僕にとっては冒険だったんです。夜以外の歌を書いたのは初めてじゃないかな。たまにはいいもんだなあと思って。「これぞ木漏れ日だろう」と思って、それに尽きるなっていうタイトルです。

――夜以外の曲を書けたことは自分にとって前進だったと思います?

松尾 すごい前進だったと思います。けど、もう、こういう曲は(書かなくても)いいかなって思います。大事にします。

――“光”もこのアルバムではキーになっている曲だと思うんですけれども。これも夜明けを書いたという意味で言えば、“足音”に通じる立ち位置だと思ったんです。この曲はどのように出来たんでしょう?

松尾 最初はちょっと歌詞が違ったんですよね。タイトルも違っていて。僕、普段は歌詞を書き直したりしないんですけど、これは全部書き直したんです。もうちょっと本音を入れてみるかと。普段はそういうことはしないので大変だったんですけど。でもレコーディングして歌を入れて。〈光〉って言葉はいい曲が出来たらつけようと思ってとっておいたんですけど、こいつにつけてやるかって思って。そうやってできました。

――この曲にあるような〈夜明け〉のイメージって、松尾さんにとってどういうものですか?

松尾 なんか、中途半端な感じですね。空が、夜と朝に分かれてる感じ。あのなんとも言えない感じが夜明けだと思うんですけど。

――そこにポジティヴな感じは込めたりしてます?

松尾 一応、込めたつもりなんですけど。やっぱ根がひん曲がっているので、照れ隠しみたいな感じになったんじゃないですかね。

カテゴリ : ニューフェイズ

掲載: 2009年06月03日 17:00

更新: 2009年06月03日 17:42

文/柴 那典