naomi & goro
リオの風をしっかりと受け止め、よりコク深く香り高いサウンドに
透き通った可憐な歌声を持つ布施尚美と、ソフトで繊細な音色を紡ぐブラジリアン・ギターの名手・伊藤ゴローによるnaomi & goro。日本を代表するこのボサノヴァ・デュオから、通算7枚目となるニュー・アルバム『Bossa Nova Songbook 2』が届けられた。昨年リリースされたボッサ名曲集『Bossa Nova Songbook 1』の続編となり、彼らにとって初のブラジル(リオ)録音となったわけだが、どうやら本場の空気がもたらしたものは想像以上に大きかったらしい。まずは何と言っても布施の歌声。聴き手との距離感を適度に保つ淡々とした歌いっぷりのなかにも、感情の抑揚や陰影が確かに感じられ、楽曲の持つ詩情はよりヴィヴィッドに表現されている。そしてもうひとつがバンド・アンサンブルの妙味。これまでは歌とギターが主体のシンプルな表現を得意としていたが、今回は現地の腕利きミュージシャンたちに囲まれ、ピアノやフルートなどの楽器が軽妙洒脱に絡み合う優雅なサウンドを展開。甘美ななかに持ち前の知性と気品が際立つ伊藤の冴えたアレンジが絶品だ。また、かつてアントニオ・カルロス・ジョビンやカエターノ・ヴェローゾの右腕として活躍したチェロ奏者、ジャキス・モレレンバウム(坂本龍一とのプロジェクトでも有名)との共演も大きなトピックと言えよう。
本作で間違いなくさらなる表現の高みへと到達した彼ら。実は今回、リオではオリジナル・アルバムも同時にレコーディングしてきたというから、そちらのリリースも大いに期待したいところだ。
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