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インタビュー

ALAINE


  「美は内面から湧き出るものよ。だからソウルを磨かなきゃね。いろいろなものが顔に出ちゃう前に魂を落ち着かせ、穏やかさを保つの。私は一人っきりになる時間を大事にしているわ。〈すべてが上手くいっている〉と思える時間を作りたいから。後は好きな服を着て、ありのままに笑顔の自分でいられれば大丈夫! メイクしなきゃとか、痩せなきゃとかは関係ないのよ」。

 女性が輝き続けるための必要条件をこのように語ってくれたのは、ダンスホール界切っての敏腕プロデューサーであるドン・コルレオーンの秘蔵っ子で、2007年発表のデビュー作『Sacrifice』がいまだロングセラーを記録しているシンガーのアレイン嬢。幼い頃から歌や演技が好きだったそうで、ウーピー・ゴールドバーグ主演の映画「マイフレンド、クララ」(88年)に子役として出演した経験も持つ。しかも、ジャマイカの一流大学を卒業後、世界最大級の投資銀行に勤務していたという超エリートときたもんだ! さらに「とんとん拍子で昇進したけど、2004年にすべてを辞めて歌を始めたのよ」と、人も羨むキャリアを投げ捨てる潔さも備えています。さらに、さらに、ルックスまで良いだなんて……。ねえ神様、彼女に才能を与えすぎたんじゃない? そんな才色兼備なスーパーウーマンが、レーベルメイトのムンガからの求愛やドンとの結婚報道(本人たちは否定)など、ある意味スターの証ともいえるスキャンダルを経て、いよいよセカンド・アルバム『Luv A Dub』を完成させました。

 「このアルバムは私のハート&ソウルよ! ドンといっしょにスタジオに入って、セルフ・プロデュースにもトライしたわ。すべての作業工程に関わったぶん、いままででもっともエキサイティングで、もっとも愛を注いだ作品になったかな」。

 と、かなりテンション高めに制作過程を振り返ってくれましたが、そんな今作には実力派シンガー、トーラス・ライリーとのデュエット“Forever More”や大ヒット・リディム〈Love Potion〉に乗った“Sincerely”ほか、お得意の哀愁たっぷりなミディアムがギュッと詰め込まれています。その一方で、腰の据わった歌唱も頼もしいブジュ・バントンとの表題曲やエレクトロ調のダンス・チューン“Flash Back To Dancehall”など、これまでとは一味違うタイプのナンバーも披露。加えてコメントにもあるように、“Love Of A Lifetime”や先述の“Forever More”ではトラック制作にも積極的に参加していたり……と、とにかくトピック満載! 巷の待望感にしっかりと応えてくれる充実ぶりで、総じて言葉の端々にまで感情を行き渡らせる、繊細でクリアなヴォーカルにますます磨きが掛かった印象を受けます。

 「私はミュージシャンだから歌以外のことも実はたくさんやっているのよ。ピアニストでもあるから、美しいフレーズを思いついたらすぐに楽器を弾いてみるの。そう考えると、トラックメイクも自然な流れよね。そうね、音楽を作る過程のすべてに関わりたいって願っているわ。作る、書く、弾く、パフォーマンスする……もっともっと挑戦したくてたまらないの! 私を幸せにしてくれる大好きな音楽を続けられているなんて、本当に毎日感謝よ。長生きできそうで嬉しいわ(笑)」。

 いやはや、何でもできるんですね。そんなアレインに会ってみたいと思った方に吉報! この8月には2007年以来となる、再来日も決定しているんです。

 「もう待ちきれない! とっても興奮しているわ。ジャパン大好き! ジャパニーズは世界のなかでも、心が美しい人たちだって思うの。温かいし、何でも寛容に受け入れてくれるし、嫌な思いをさせられたこともない。何より、私の音楽を愛してくれていることに幸せを感じるわ。今回はロングステイできるから、食べ物やいろいろな都市を体験するのも楽しみ! ジャパンのすべてが大好きよ」。

 こうやって屈託なく話してくれる彼女にすっかりメロメロ。私もあなたのすべてが大好きです!

PROFILE/アレイン

ニュージャージー出身、ジャマイカ育ちのシンガー。幼い頃からTVやラジオに出演し、9歳で赤十字大使に選ばれる。大学卒業後はNYへ渡り、JPモルガン・チェースに入社。会社勤めの傍ら、キャムロンの2002年作『Come Home With Me』にコーラスで参加。2004年には音楽活動に専念するため、ジャマイカへ帰国。2005年に入ると“Wine”や“Anything”といったシングルがヒットを記録。2007年にファースト・アルバム『Sacrifice』を発表。その後、世界各地で精力的なライヴ活動を展開する。先行シングル“Over U”がクラブでヘヴィー・プレイされるなど話題を集めるなか、8月5日にセカンド・アルバム『Luv A Dub』(Don Corleon/KOYASHI)を日本先行でリリースしたばかり。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2009年08月05日 18:00

ソース: 『bounce』 312号(2009/7/25)

文/カシワサン