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インタビュー

Sawagi 『hi hop』 colla



  ノイジーな電子音に続いてド派手なギター・リフが轟き、イーヴン・キックがドスドスと蹴り出される。アルバムの冒頭を飾るのは、ダフト・パンク“Robot Rock”をよりアッパーに進化させたかのような、怒涛のロッキン・エレクトロ。その名も“ibiza”! 快楽の限りを尽くしたパーティーが連日繰り広げられることで知られるリゾート・アイランドの名をタイトルに冠してしまうあたりに、Sawagiというインスト・バンドの特異な魅力がわかりやすく表れていると思う。

 エレピがロマンティックな旋律を紡いでいくアーバン・フュージョン“MOTOR POOL IS NOT DEAD”や、ジャジー・ヒップホップに軽やかな躍動感を注ぎ込んだ“space”などを聴けば、彼らが各種のダンス・ミュージックを巧みに吸収し、生のアンサンブルへと転化する〈洒脱なセンス〉の持ち主であることがわかるだろう。だが、“vacuum -hi hop edition-”ではやたら大仰なシンセが飛び交い、ハードロックばりのギター・ソロが火花を散らす“Panda”では、バイリ・ファンキばりの打ち込みビートが踊り、淫靡な電子音がビヨビヨと反復し続ける。クール&オーガニックなグルーヴで洒落のめすだけでは飽き足らず、超下世話でケミカルなサウンドをガンガン持ち込み、聴き手のテンションをアゲにアゲまくるのだ。

 本作には「ダンス・ミュージックは騒げてナンボ」みたいな猥雑なパーリー感覚が詰まっている。これこそ、活況を呈しつつあるこれまでのインスト・ダンス・ミュージック・バンド界隈にはなかった、Sawagiだけの個性と言えるだろう。

カテゴリ : ニューフェイズ

掲載: 2009年08月05日 18:00

更新: 2009年08月05日 18:10

文/澤田大輔

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