MU-STARS

4年の歳月を経て、一回り大きくなった2人が新作を完成!　そこのおネエさんもB-BOYも、みんないっしょにパーティーしようよ!

　　ヒップホップを媒介に、和モノからパンクまでを行き来するジャンルレスな選曲でもってパーティーを着火させ続ける、sarudogとタカによるDJユニット＝MU-STARS。彼らが前作より4年のインターヴァルを経て、セカンド・アルバム『BGM LP』を完成させた。「アルバム制作に4年かけたというより、イヴェント出演やリミックスとかCM音楽などの制作を経験するうちに、気付いたらこんなに経ってた!という感じです」とはトラック制作を担うsarudog（発言以下同）の弁だが、待望の新作には、その4年分の蓄積と志向の変化が着実に刻み込まれている。ファースト・アルバム『CHECK 1,2』が、ターンテーブルとサンプラーを使い倒し、DJミュージックのフレッシュネスを封じ込めた初期衝動溢れる作品だったのに対し、今回は打ち込みを積極的に導入して、よりベーシックな部分から楽曲を構築しているのだ。

　「いまもレコードが大好きで常に買っていて、サンプリングが音楽制作の基本にはあるんですけど、ほぼ100%サンプリングで作ることは前回やったので、違うことをやろうと思ったら自然とこうなりました」。

　また、今回はゲストを迎えずにほぼ全編を彼らだけで作り上げており、多くの楽曲ではトークボックス風のエフェクトを施してsarudog自身が歌っていたりもする。アルバムのそこかしこからミュージシャンシップに目覚めた彼らの、より自由度の高い音を作らんとする気概が感じ取れるのだ。

　「ファーストはホントに趣味爆発という感じで、大好きなアーティストが自分のトラックで歌ってくれるのが嬉しくていろんな方に参加してもらったんですが、今回は楽曲だけで勝負したいと思ったんです」。

　トラックのスタイルも実に多彩。ダフト・パンクにスムースなメロウネスを注いだような4つ打ち“NO STAR”で始まり、オールド・スクール・エレクトロにメランコリックな空気を吹き込んだ“MY PHILOSOPHY”、ジャジーなサンプルに性急なビートが交錯する“BEATS GOT MELLOW”、ブレイクビーツを絡めたエレクトロ・ハウス“THE END”など、BPM速めのダンス・ミュージックが賑やかに揃った。

　「“NO STAR”や“THE END”は、最初から4つ打ちにしようとしていたわけではないんですが、ダンス・ミュージックを作りたい!と思って制作していたら、いつの間にかあのような形になってました。家でも外でも、できれば爆音で聴いてもらって、身体が動いてくれたら嬉しいですね。それでライヴ会場にも来てもらって、さらに爆音で鳴らす楽曲で踊ってもらえたら最高です」。

　だが、どんなにアッパーなダンス・ミュージックであっても、そこにはヒップホップに深く影響を受け、キックとスネアに取り憑かれた者ならではのグルーヴが息付いている。そこがまた素晴らしい。「基本的に自分はB-BOYだと思っているんで（笑）」と語る通り、本作もまた彼らなりのB-BOYイズムが宿ったパーティー・アルバムなのだと思う。