インタビュー

AMWE

いきなり逆上陸を果たしたジャパニーズ・ガール。和製アニー? 日本のラ・ルー? いや、この赤い衝撃はそれどころじゃないぜ!


  メトロノミーやリトル・ブーツといった才能をシーンに送り込み、コアなインディー・ファンから愛されてきたロンドンのカリスマ的レコード・ショップ、ピュア・グルーヴ。そのレーベル部門から、9月末に一枚の7インチがリリースされた。アーティストの名はAMWE(アムウィ)。なんと日本の女の子である。もちろん日本人の作品が同レーベルからリリースされるのは初めての快挙だ。

 「〈MySpace〉に直接メッセージがありました。朝起きてメッセージをチェックしたんですが、半泣きになるくらい感激しましたよ。ピュア・グルーヴは、私にとって〈センスのいいインディー・ミュ-ジックを出しているハズレのないレーベル〉という認識です。AMWEの音やスタイルをUKのスタッフが、その基準で選んでくれたの?と思うと純粋に嬉しいです」。

 ピュア・グルーヴの心を掴んだAMWEのサウンドは、80年代ポップスのスウィートな旋律とエレクトロの躍動感を併せ持つ。そして何より甘口で透明感があり、芯のしっかりとした彼女のヴォーカルが印象的だ。楽曲はすべて自身の作詞作曲。つまりエレクトロ以降のシンガー・ソングライターというわけだ。これはジャパニーズ・エレクトロ待望の才能でもある。国内シーンの確立の立役者であるDEXPISTOLSや80kidz、THE LOWBROWSらのエレクトロ第1世代は、いずれもDJサイドから発展してきた経緯があるのだが、AMWEのサウンドはクラブというカテゴリーにまったく限定されていない。海外ではアニーやゴールドフラップ(今年であればリトル・ブーツやラ・ルー)が果たしてきた、ポップ・フィールドへとリスナーの裾野を拡げていくアイコンの役割が期待されるのだ。日本デビュー作となるミニ・アルバム『I AM AMWE』リリースに際しての本人のコメントも、とても明瞭で自覚的。

 「トレンドのみを追った作品ではなく、〈メロディー〉と〈歌〉を大切にしました。私自身クラブ・ミュージックは大好きですが、フロアを意識したDJ的なエレクトロ・ダンス作品とは違うかもしれません。リスニング派の方々にも楽しんでいただける作品になっていると思います」。

 すでに〈DIESEL:U:MUSIC〉のJAPAN WINNERに選出され、パリやロンドンでの同イヴェントや、〈サマソニ〉といった大型イヴェントにも出演。国内ではblanc.のアルバムに参加していたりもするのだが、キツネの名物コンピ『Kitsune Maison 8』への楽曲収録や、ハーツレヴォリューションのリミックスを手掛けるなど、目下は海外レーベルやアーティストからの注目度が一歩先行をしている状況だ。

 メジャー/インディーを問わずエレクトロ・アーティストの発掘(または捏造)に忙しい昨今ですが、正直クォリティーが追いついてこない、と食傷気味のリスナーの皆様、これは本命ではないでしょうか!?

▼AMWEの参加した作品を一部紹介。

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掲載: 2009年10月14日 18:00

ソース: 『bounce』 315号(2009/10/25)

文/中村 義響