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インタビュー

チーナ(3)

――そうやって格闘することで曲を作って、ライヴを重ねて、今回のファースト・ミニ・アルバム『Shupoon!!』が出来上がったわけですね。

椎名「はい」

――初めての全国流通盤ではバンドのどういう部分を表現したかった?

「生きてる感じ、生モノの感じ、というか。すごくキレイで上手で、〈よくできました!〉っていうCDではなくって、個人で言ったら弓のあたるスピードだったりとかからニュアンスで伝わるもの、生っぽさをすごく伝えたかったですね」

――この7曲は、そういう観点で選ばれたもの?

椎名「そうですね、選んだになるのかな? さっきの話と繋がるんですけど、アコースティックからロックになっていった曲たちっていうか(笑)、チーナが成長していく時のターニング・ポイントになった曲たちを入れた感じです。エネルギーみたいなものをこの編成で感じてほしい、っていうのはすごいありました」

――タイトルもかなり抜けが良いですが。

椎名「なんか、タイトル考えようってなった時に、最初から擬音しか思い浮かばなくて(笑)。他にもいろんな擬音があったんですけど、聴いてもらう人たちに〈シュポーン!!〉って飛んでほしいっていう気持もあるし、自分たちがいろんなものを打ち破っていきたいっていう〈シュポーン!!〉もあるから、自分ではすごく相応しいタイトルをつけられたと思ってるんですけど……(笑)」

――他のメンバーは違うと。

椎名「若干……(笑)」

西依「いや、気に入ってますよ。するめネームです(笑)。最初にタイトルを聞いた時は〈この人ふざけてんのかな?〉って若干思ったんですけど、帰って考えてるうちに〈いいかも〉みたいに思えてきて、次に会った時は〈いいよ! このタイトル!〉〈でしょ!?〉って感じで(笑)。意味のない言葉なんで、そこからイメージを膨らませることができるし、いいなと思って」

――歌詞も、歌ってることが独特ですよね。先ほどのサウンドの話じゃないですけど、〈キレイなところだけじゃない自分〉を真っ正直に出しているというか。

椎名「詩に関しては、よく〈ひねくれてる〉って言わるんですけど、自分では全然そういう気はなくて。ホントに言っていただいた通りで、日常生活のなかにはそんなにカッコイイことなんてないし、素直に自分と向き合おうと思って書くとこうなってしまう。あと私、人の曲を聴く時に全然歌詞を聴いてなくて、メロディーばっかり追ってるので、みんなそうだと思ってて。だから、歌詞なんか誰も聴いてないだろうし、こんなことも言っちゃっていいよね、って感じで書いてたら、みんながわりと〈歌詞がね……〉って言ってきて、〈ヤバい! 歌詞聴いてたんだ!〉と思って(笑)」

――弾き語りから始まってますけど、それは伝えたいことがあったから歌ってた、っていうんじゃなかったの?

椎名「いやぁ~、それはなくて」

――ないんだ(笑)。

椎名「ああ、でも確かに、ちょっとアンチなところはあったのかもしれないです。人の曲を聴くと、みんな、そんなこと絶対思ってないだろうっていうような、よくありそうな言葉ばっかり歌ってるな、って。だからこそ、ホントのこと言わないと誰も聴いてくれないって思うし、逆にホントのことを言わないと自分もおっきい声出して歌えないっていうのがあるので……真面目なんです(笑)」

――そういう言葉もチーナの音楽の世界観を形成するひとつの要素ではありますよね……と言いつつ、1曲目“トントンねぇねぇ”はまさに〈トントンねぇねぇ〉だけなわけですけど(笑)。

椎名「そうですね(笑)。歌詞のことを言われるようになって……やっぱ、ひねくれてるのかな? 〈歌詞、けっこういいね〉って言ってくれる人が増えた時に、〈いや、歌詞だけじゃない。音楽がいいんだ〉っていう気持ちを込めて、あえて歌詞は〈トントンねぇねぇ〉だけっていう曲を作ろうと(笑)」

――(笑)それはちょっとひねくれがあるかもしれないですね。ラストの“マトリョーシカ”の歌詞とか、視点が本当にユニークだと思いますし。他のメンバーのみなさんは、どう思われました?

「なんか、ありがとうって思いました。ここで〈良かったね〉って言ってくれることってまずないじゃないですか」

――〈君がどんなに泣いたって/誰もわかってくれないよ/良かったね〉ですからね。

「すごい救われる一言だな、って思って、聴いた時に〈歌詞がいいよ~〉って言って」

「私も椎名といっしょで、他のバンドさんの歌詞をいちばんに聴くことはあんまりないんですけど、この曲は私のなかでは衝撃の1曲で。“マトリョーシカ”を初めて聴いた時は〈こいつ、ホントにすごい曲作ってきた!〉と思って(笑)」

椎名「“マトリョーシカ”は、ネガティヴなようでいて、ホントはポジティヴな曲ですね」

――〈君〉を全肯定する歌ですからね。

椎名「はい。で、その曲は、間奏をあけてまた同じ言葉を言うんですけど、みんなのアレンジとか構成の力で後半は違ったように聴こえる、っていうおもしろさが出たらいいなと思ってて」

――言葉とサウンドの関係性を考えて作ってる。

椎名「言葉ではうまく言えない気持ちを音楽で表したいっていうのがあるので、その曲はホントにそこを出せたらっていうのでがんばったんです。間奏もすごい長いし、みんな相当狂ったように弾いてるんですけど(笑)、そこでなんとか違った色を出したいなっていう」

――そういう椎名さんの意図をもとに、みんなでがんばった?

「狂ったように、っていう指示はあったんです(笑)」

「間奏の最後は半狂乱で、って(笑)。でも、いま言ってたような深いことは聞いてなかった。そうだったんだ(笑)」

カテゴリ : ニューフェイズ

掲載: 2009年12月09日 18:00

文/土田 真弓