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インタビュー

GENERAL HEAD MOUNTAIN 『深まる日々に、微笑みを。』

丸裸になって挑んだ本作で、もっとリアルな彼らの世界が露わに。とことん自身をさらけ出すことで見えた〈きれいごと〉の歌を聴け!

 

 

インディーで発表した前作『木漏れ日にツキル』から半年を経て、GENERAL HEAD MOUNTAINのメジャー移籍後初のアルバム『深まる日々に、微笑みを。』が届いた。彼らの音楽はエモあるいはパンクとして紹介されることが多かったが、エモと呼ぶにはあまりに濃厚な哀感と情緒溢れるメロディーや歌詞、パンクと呼ぶにはあまりに繊細で表現力豊かな演奏と歌があり、その個性はいよいよ開花しつつある。

「〈受け入れることと繰り返すこと〉が今回のテーマですね。(1曲目のインストに続く)最初の曲“青”では大人になってしまったことを歌っています。例えば高校生の頃って自転車やバイクで行ける距離が行動範囲だけど、大人になると移動手段も増えて行動範囲が広がっていきますよね。でも逆にあの頃感じていたような感覚にはもう戻れないというか、いまとあの頃とを結ぶ橋は見えているけど渡れないという感覚があって、そんなことを書きました。これほどまでに自分のことを書いたアルバムは初めてです。前は物語を作るように曲を作っていたんですけど、もっと自分のことを伝えたくなくちゃと思ったんですよね」(松尾昭彦、ヴォーカル/ベース:以下同)。

その“青”に呼応するのが、最後に収められた表題曲。つんのめるような速いビートと激しいギター・リフで埋め尽くされた本作において、唯一スロウな曲調で語りかけるように歌われるこの曲は、松尾が友や母や恋人への思いを赤裸々に吐き出した、非常にパーソナルなナンバーだ。

「3年前ぐらいにもうあった曲なんですけど、誰にも聴かせないでいたんです。遺書のような感覚で書いた曲だったので、最初は歌詞に個人名も入っていたし。でも制作が終わりに近付いて〈このアルバムにはテーマが足りない〉と思った時に、これでアルバムを締め括るのがいいかもしれないと思って完成させました。自分をさらけ出すならとことんやろうと思って全裸になった感じです」。

新世代ロックとか何とかのムーヴメントに括られる音楽性とは一線を画している。が、わがままなほど独立独歩を貫きつつGENERAL HEAD MO-UNTAINはこれから進むべき道をしっかりと見据えている。

「〈きれいごと〉っていうけど、きれいだからきれいごとなわけで、だったらそれを歌ってやるという気持ちはあります。僕らみたいな音楽を聴く人はみんな非日常が聴きたいわけじゃないですか。だったらもっと爆発力のあるもの、ガツン!とくるものをやりたいから。これからも僕が思うきれいなものを歌い続けていこうと思います」。

 

▼GENERAL HEAD MOUNTAINの作品を紹介。

左から、2008年作『月かなしブルー』(AFRICAN)、2009年作『木漏れ日にツキル』(松尾)

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2010年01月21日 18:00

更新: 2010年02月10日 19:01

ソース: bounce 317号 (2009年12月25日発行)

文・インタヴュー/宮本英夫

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