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インタビュー

ロング・レヴュー:キノコホテル 『マリアンヌの憂鬱』

 

キノコホテル_J170

〈現代に蘇ったピンキー・チックス!〉なんてカルトGSマニア垂涎の枕詞を用いるまでもなく、2010年代の耳で聴いてもグッとくるパンチでメラメラな4人組ガールズ・バンド、キノコホテル。今作はそんな彼女たちによる初の正式音源にしてメジャー・デビュー・アルバム。ワイルドなファズ・ギターにチープなオルガン、そして〈ツンデレ〉というよりも〈はすっぱ〉という言葉がよく似合う色気と愁いを帯びたヴォーカルなど、そのサウンドは一聴してGSや昭和歌謡を想起させるものではあるけれど、そこにはレトロなムードに惹かれて近付いてきた親父リスナーを軽く弄び骨抜きにしてしまうようなしたたかさと、みずからが憧憬する〈昭和元禄〉の世界に平成生まれのリスナーをも腕ずくで引き込んでしまうような荒々しいダイナミズムとが見事に同居しているのだ。

モッドなボブに真っ赤なミリタリー・ルックといった揃いのコスチュームに、〈架空のホテル〉というバンドの成り立ち、メンバー……もとい〈従業員〉の生い立ちを記した公式プロフィールなど、リーダーである〈支配人〉=マリアンヌ東雲によるセルフ・プロデュース・センスには目を見張るものがあるが、何よりも特筆すべきは秀逸なバンド・コンセプトを根底で支える確かな演奏能力と徹底したサウンドへのこだわりだ(今作のサウンド・エンジニアはゆらゆら帝国を手掛ける中村宗一郎)。音、ヴィジュアル共に、あらゆる意味で今後の展開が気になるキノコホテル。GS繋がりでいえば、まさしく“おまえにチェックイン”(by 沢田研二)という感じなのだ。

カテゴリ : .com FLASH!

掲載: 2010年01月27日 18:00

更新: 2010年02月08日 22:57

文/望月哲

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