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インタビュー

青木カレン

新作はパウロ・スコッティ主催レーベル【Norma Blu】から

インディゴ・ジャム・ユニットやジャバループなど、数多の所謂〈クラブ・ジャズ系〉のミュージシャンとの共演も多く、近作のベスト盤がズバリ『THE CLUB JAZZ DIVA』ということで、最新作『BY MY SIDE』がイタロ・ジャズの現在形を伝えるパウロ・スコッティ主宰の【Norma Blu】から出る、ということにオレが戸惑いを持つことは自然かと思ったが、以下を聞いて腑に落ちたワイ。「私以前、ラジオでニコラ・コンテを聴いて『これはヤバイ!!』と思ってとっさにファン・メールを書いたんです(笑)。その後、須永辰緒さん経由でニコラを紹介してもらって、その流れで(今作のプロデューサーの)パウロ・スコッティに出会ったんです」

この縁が実を結んで、【Norma Blu】の第9弾は、日本人アーティストのイタリア録音を」…というパウロ氏のアイデアの主人公として浮かんだのが彼女というわけなのデシタ!! 09年9月に現地入りして録音は開始しました。「気候はすごく暑かったですね。そしてスタジオがとてものどかな所にあって。例えばスーパー・マーケットも1日に3時間しか開いてないし、スタジオの前には馬が2頭いるような、ほんと畑の真ん中、とにかく建物がないところ(笑)」。何ッ!? そんな牧歌的な!! …オレが勝手に浅薄に思い込んでいた、イタロ・ジャズの幻想(=「絶対的にクールでスタイリッシュでエレガントなシティで作られてるはず!!」という無情報下での確かで自信満々の誤認)は確実にファールだった。

そんなほのぼのした現場で、いかにもイタリアらしく(これも勝手な思い込み)、陽気な男たちが歌って踊ってワイワイ演りながら、場の予定調和で制作が進んだのかと言えばこれは半分は正解そして不正解。

「(今作のアレンジャー/トランペット奏者の)ステファノ・セラフィニは一面すごくきっちりした人で。私のオリジナル曲(今回は5曲)も事前のやりとりで完全にアレンジが出来上がっていたし、そのスコアは各人のソロ・パートまでほぼ書き込んでいるぐらい」

そんな精巧な譜面とパウロの細部にまで渡る並々ならぬ配慮の利いたディレクションに、今回は敢えて身を委ねたという。「おかげで、歌詞の意味を伝えることにすごく集中できたので、リラックした声質を録ることができました。歌詞に即した声というか」。加えて、今回新鮮だったところはイタリア独特の空気感だという。例えば先述のステファノと事前のトラックのやりとりでは「私が送ったモノの大体3分の2ぐらいの分量になって返してくるんですよ。その間引きする感じ、がヨーロッパなんだなぁと思って」。またレコーディングにおいても「ピッチとかタイミングに関しての指示は全く無くて、『今のはエネルギーが出ていなかったな』とか言う感じ。ちゃんとその人が〈コミットして音を出しているか〉ということに、パウロは気を付けていましたね。それが日本と違う文化とか精神性だなぁ、と思いました」だそう。なるへそ!! これを踏まえてもう一度聴いてみるぞぉ!!

『青木カレンLIVE INFORMATION』
4/6(火)大阪 ビルボードライブ大阪
4/8(木)水戸 Girl's Talk
4/10(土)浜松 Heart Land
4/16(金)東京 JZ Brat
http://www.rambling.ne.jp/artist/karen/

カテゴリ : インタヴュー

掲載: 2010年03月15日 18:04

更新: 2010年03月15日 18:18

ソース: intoxicate vol.84 (2010年2月20日発行)

interview & text : 本橋卓(渋谷店)