Perfume 『不自然なガール/ナチュラルに恋して』 ……2
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――CMの撮影はどうでした?
のっち 踊るシーンがけっこうあったんですよ。
パリの街並みを再現したセットで、踊るのはちょっと大変だったですけどね。寒かったし。
かしゆか 年末の忙しいときに撮ったんですよ。
あ~ちゃん PVも連動して撮影してたから、26時間くらいかかって。
撮影が終わって、そのまま木村カエラさんのライヴに出させてもらうことになってたから、
とにかく風邪を引かないように気をつけてましたね。
――すでにCMもオンエアされてますけど、ソロのシーンもすごく新鮮ですね。
のっち うん、斬新ですよね。監督が大好きな児玉さん(映像作家の児玉祐一氏)だったから、
もう安心でした。Perfumeのことをちゃんとわかってくれてて、
そのうえで<こういうことをやってみたい>ってアイデアを持ってきてくれて、
それをカタチにしてくれる方なので。私たちはチャーリーって呼んでるんですけど。
あ~ちゃん おそろいのカバンも持ってます。蛍光ピンクのやつ(笑)。
――“不自然なガール”を聴いたときの印象はどうだったんですか?
あ~ちゃん 中田さんも言ってたんですけど、<一音目>からキャッチーだねって。
かしゆか “ナチュラルに恋して”が決まったときから、「もう1曲はバキバキになるから」って言ってて。
そのサンプルの音を聴かせてもらったときは、<ここまでいく? >って思いましたね。
こういうタイプの曲をシングルに持って来れるようになってきたんだなって。
――いままでだったら、躊躇してたかもしれない?
かしゆか <そこまでやっちゃうのは、まだ危ないでしょ>って思ってたかもしれないですね。
シングルを出すときは、いろんなことを考えてたんですよ。
“ワンルーム・ディスコ”にしても“Dream Fighter”にしても、
普通の人が聴いても耳に残る曲になっているので。
でも“不自然なガール”はかなり振り切ってると思うんですよね。
これを受け入れてもらえるところまで来てるんだなって。
のっち もっといっちゃってもいいんじゃないかって、私は思うんですけどね。
それに向けての第一歩じゃないかなって。
あ~ちゃん 難しいよね。capsuleになっても意味ないしね。
のっち そうなんだよね。おもしろいことをやってるということがありつつ、
キャッチーなところもちゃんと出していって……“愛しさとせつなさと心強さと”('94年)って
あるじゃないですか。ああいう90年代的なキャッチーさも備えてると思うんですよね。
――なるほど。
のっち それでいて、音楽好きな人にも<おおっ! >って思ってもらえるような曲にしたいなって。
――歌詞についてはどうですか。好きな人に気づいてほしい、振り向いてほしいっていう女の子の気持ちを描いた、めちゃくちゃ切ない歌詞ですけど。
のっち 全部出来上がって聴いたとき、胸が苦しくなっちゃったんですよ。
ホントに切なくて、ちょっと泣きそうになって。
特に最後のかしゆかのソロのところとか、「そこまで苦しんでるの? 」みたいに思って。
――健気ですよね。
のっち だいぶ健気ですね。自分から思いきって行けないタイプというか。
かしゆか どっちの曲も、相手の男の子の顔を見てみたいですよね。
どんだけイケメンなんだ? って(笑)。
あ~ちゃん 確かに。でも、「これ以上苦しめないでね」って、なかなか言わないよね。
好きな人に気づいてほしいって、そこまでやっちゃうの? っていう。
「相談があるからって キミにメールを打つの」
「本当の質問は まだまだ聞けないけど」っていう歌詞もいいなって思います。
すごく共感できるし、どうして中田さんはこういう女の子の行動が思い浮かぶんだろう? って。
だって、完全に聞かれる立場じゃないですか。
かしゆか 「とりあえずメイクして キミのメール待つの」っていうのも、すごくわかります。
こういう仕事の友達とかって、予定がなかなか見えないじゃないですか。
もうすぐ終わりそうって言ってても、ぜんぜん終わらないことなんていくらでもあるし。
遊びたい気持ちはある、でも、遊べるかどうかわからないっていうとき、
とりあえずメイクして、服も着て、スタンバイしてることがあるんですよ。
あ~ちゃん へ~。
かしゆか おなかがすいても、<あとでごはん食べに行くかもしれないから>って思って、
食べないでいたり。そういうときに<やっぱり無理>ってメールが来ると、
<どうしよう>って思いますけどね。とりあえずコンビに行こうかな、とか。
あ~ちゃん へ~、そうなんだ! 私、プライベートでは一切メイクしないんです。
ずっとスッピンだから、いきなり出かけることになっても、
準備にぜんぜん時間がかからない(笑)。メイクするときは、仕事のときだけですね。
――それって男性にとっては、かなりポイントが高い気がします。“不自然なガール”のPVはどんな感じになりそう?
かしゆか やり切っちゃってます。
あ~ちゃん 初めてダンサーさんに参加してもらってるんです。女性ばかり、24人。
かしゆか みんな同じ衣装で。
あ~ちゃん Perfumeにとって不自然なことって何だろう? って話し合って、
<メンバー以外の人がステージに立ってたら、不自然だよね>って。振り付けもちょっと変わった動きで。
<関節がおかしくなってるよ! >っていうのとかもかんばってやってます(笑)。
かしゆか いかに不自然に見えるかっていうのを、3人で研究したんです。
撮影はかなりきつかったですけどね。身体的に無理が生じてる動きなので(笑)。
あ~ちゃん 筋肉痛になりました。“ナチュラル…”のビデオがすごくシンプルだから、
ビデオがまったく違うのもおもしろいと思います。
のっち ホントにやりきったし、いいものになったと思いますね。
あ~ちゃん 撮影中もずっと褒めてましたね、みんなで。
かしゆか どんだけ自画自賛してるんだって(笑)。
あ~ちゃん スタッフさんも自分達もカッコいい! ってみんなで言い合えるくらい
自信を持って作品を作れてること、本当に嬉しかったです。
――新しいトライアルが多いシングルになりましたね。
かしゆか そうですね。2010年の一発目にピッタリだと思います。
のっち 10周年だしね。
かしゆか (結成)10周年、(メジャーデビュー)5周年、(ファンクラブ「P.T.A」発足)3周年。
のっち 何か記念になる、アニバーサリー的な催しをやりたいですね。
みんなお祝いできるような会を開きたいです。
――2010年のPerfume、おもしろくなりそうですね。
あ~ちゃん 攻めたいですね、今年は。去年のシングルは1枚だったんですが、
「ワンルーム・ディスコ」は完全にPerfumeナンバーになってるし、
1年に1枚っていうのも良いなって思ったんですけど、今年はもっといっぱい出したいなって。
記憶に残るようなPerfumeの10周年にしたいですね。
もちろん私たちもがんばるし、スタッフのみなさんや中田さんにもがんばっていただいて、
是非いい年にしたいです。
かしゆか 結成10周年はひとつの区切りだし、
何かにチャレンジする良いきっかけになると思ってて。
このシングルでもいろいろ新しいことが出来たし、
ライブに関しても、いままでやってないことに目を向けていきたいですね。
のっち あ~ちゃんが言ったように、
攻めて攻めて、みなさんの前に出る機会をどんどん増やしていきたいと思います。
もっともっとPerfumeを好きになってもらいたいっていう気持ちが強くなってるんですよね。
カッコいいことをやってる自信はあるので、
それをたくさんの人に知ってもらって、好きになってほしい。
Perfumeを人生の楽しみのひとつに入れてほしいです。
■ PROFILE…Perfume (パフューム)
あ~ちゃん(西脇綾香)、かしゆか(樫野有香)、のっち(大本彩乃)、の3人組テクノポップユニット。昨年はPerfume史上最大規模となった全国ホール&アリーナ・ツアーも大成功。結成10周年となる今年も、勢力的な活躍が期待されている。
記事内容:TOWER 2010/4/5号より掲載