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インタビュー

INTERVIEW(2)――大事な狂った仲間たちに希望を

 

大事な狂った仲間たちに希望を

 

RAMB CAMP_A2

 

 

以来全国20か所に及ぶツアーを回り、関係をさらにタイトにした3人は、早速作品の制作に取り掛かる。 『SOUTHSIDE MOVEMENT EP』に続いて完成した今回のニュー・アルバムもまたその成果の一つだ。前作を大きく飾ったFREEZの手によるループ感の強いトラックに加え、ネタを切り刻む DJ MAKOTOのトラック(自身いわく「メロウに聴こえるけどライヴではブチ上がるビート 」)。そしてDJ PERRO a.k.a. DOGGやDJ KENSAW、EVIS BEATSといったプロデューサーをはじめ、地元の愛すべき仲間からB.I.G. JOE、INI、K-BOMB、JUBE、茂千代といったラッパーに至る「駆け引きなしで付き合える」(FREEZ)面々……アルバムを支える要素の一つ 一つがグループの新生面に華を添える。さらには、『BALD AS RAMB』から実に5年の歳月を刻んだ時計の針が、今回のアルバムの内容に大きく影を落とすことに。仲間の死やFREEZの結婚~子供の誕生など、メン バー自身や周囲の環境の変化にも及んだそれは、前作では窺い知れなかった彼らの実像をより身近にダブらせる。

「パーティー・ライフ、生きてれば誰にでも振りかかる辛いことや、嬉しいこと……アホな事件もシリアスな 出来事も日常に並列で起こりうるから、包み隠さずブチ込みました。俺たちの遊び慣れた親不孝という街も、普通の人と話してるとかなり異常なことに気付く。 パッと見パーティーばかりの楽しそうな街なのに、世間から外れてしまった寂しい奴らやイカレた奴らも内包した街なんですよね。でも俺たちはこの街を愛して 止まないし、大事な狂った仲間たちに希望が見えるモノを作りたかった」(FREEZ)。

「根本的なことは変わってないけど、リアルなのがあたりまえで、いま現在がいちばん出てます。俺らにとっちゃ親不孝でブラブラしてるだけで起こった事件のような、笑えることもだいぶ参考になってる」(BIG FACE)。

サンプリング・ミュージックというグループの音楽性を保ちつつも日々の生活の流れを受け入れたその新作に付けられたタイトルは、ずばり『RAMB CAMP』。BIG FACEが「今までの集大成」と言えば、FREEZも「一生忘れられない一枚」と言う。本作はグループにとって新たな始まりであり、これからもブレないグループの軸ともなるだろう。

「流行に流されない、俺が頭に描いとるヒップホップ。ギャング・スターの『Moment Of Truth』みたいなシリアスなアルバムを作ろうと思いきや、RAMB CAMPらしい俺たちだけにしか作れんアルバムになりました」(DJ MAKOTO)。

「進化し続けて来て、やっと俺たちだけのオリジナリティーが完成された。こんなにゲストが入ってるけど、どっからどう聴いてもRAMB CAMPだろ?っていうのもありますし、このアルバムには暗い時代を乗り越えるパワーがあると思う」(FREEZ)。

本作にも参加したMEDULLAとC.I.A ZOOと結成したその名もイングロリアス・バスターズのクルー・アルバムとBIG FACEのソロ作の制作が早くもスタートしている彼ら。今後はEL-NINOや、願わくばグループの前身とも言うべき ILL SLANG BLOW'KERでも作品を、と話は続く。「いつくたばってもいいように、大事な音やアートをたくさん残していきたい。人に優しく、いい人生を。気持ちを 強く持ってタフな時代を生き抜きましょう!」(FREEZ)――そう言い放つ彼らの生の姿は、これからの作品にもますます投影されていくに違いない。

 

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カテゴリ : .com FLASH!

掲載: 2010年05月12日 18:00

更新: 2010年05月12日 18:04

インタヴュー・文/一ノ木裕之