こんにちは、ゲスト

ショッピングカート

インタビュー

9mm Parabellum Bullet 『Revolutionary』

 

〈9mmの年〉と称した昨年の大仕事を終えて完成した初のセルフ・プロデュース作。その自信に漲った音に今回も度肝を抜かれよう!

 

9mmParabellumBullet -A

 

9mm Parabellum Bulletが生み出すロックのダイナミズムは、あの武道館をも軽々と凌駕したように見えた。2009年9月9日、つまり9が3つも並ぶ記念すべきその日、彼らは初の日本武道館公演を開催。見えない敵をなぎ倒していくようなお馴染みのアクションと共に繰り出される、爆発的なテンションのバンド・サウンドは壮絶だった。傍目には実に9mmらしいライヴだったが、やはり彼らにとっても特別な何かが武道館にはあったようだ。

「めっちゃくちゃ緊張していて、直前まで〈ヤバイヤバイヤバイ……〉という感じでした。いざ始まってみたら、最後まで何も覚えてなかった(苦笑)」(滝善充、ギター)。

「メンタル面では無敵を誇っていたんですけど、この時ばかりは便秘になって〈ピンクの小粒〉を飲んだくらい緊張してました」(かみじょうちひろ、ドラムス)。

「(ライヴを)観ていた人から〈序盤は目がイッてた〉って言われて(笑)」(中村和彦、ベース)。

そんな経験を経た彼らが次に取り掛かったのは、メジャー・デビュー以来のプロデューサー・いしわたり淳治の手を離れ、バンド初のセルフ・プロデュースによるアルバムの制作だった。スケールの巨大な“Lovecall From The World”から自信の滲み出たような言葉が躍るラストの“The Revolutionary”まで、3枚目のニュー・アルバム『Revolutionary』には〈怒涛〉と呼ぶしかないスピードと密度で9mmのすべてが詰め込まれている。

「モチヴェーションは前2作と比べても結構違っていて。(昨年)9月くらいからアルバム用に曲を貯めていかなくてはいけなかったんですけど、武道館とかもあってなかなか制作に集中できなかったんです。〈2009年は9mmの年〉と位置付けて活動してたから当然と言えば当然なんですけど、そういう忙しい状況が一段落してから集中して一気に曲を詰めていった感じですね」(滝)。

「あの時は集中できない要因をどう取り除くかで必死だった時期でもあって。〈1か月でこんなに歌詞書くのかよ!〉みたいな。でも自分たちでやると決めたことだし、人間本気でやればやれるもんです」(菅原卓郎、ヴォーカル/ギター)。

しかし初めてのセルフ・プロデュースに不安はなかったのだろうか。

「いままでも、俺たちではにっちもさっちもいかなくなった時に淳治さんが助けてくれる、という感じだったんですけど、今回はメンバーだけで解決していきました。俺の場合は始めからメンバーに頼ってましたね。〈この部分が俺はわかんないんだけど(みんなに考えてほしい)〉って。アルバムは自分一人で作っているわけではないし、不安はなかったです」(菅原)。

「いままでのアルバムにはどこか硬めでドライな印象がありましたけど、今回は独特の湿っぽさが出せた気がします」(滝)と語るように、昨年の春にシングルとなった“命ノゼンマイ”を作って以降、彼の作る曲はよりメランコリックな方向性に向かいはじめたのだという。また今回はかみじょうも初めて作曲に参加し、カオスなリフが大量に詰まった“3031”を生み出している。実にさまざまなタイプの曲がひしめいているが、なかでも“Invitation”“Finder”は彼らのインディー時代のナンバーを彷彿とさせ、他の楽曲とはメロディーの趣が違う。そのことを彼らに告げると、「エスパーですか?」(かみじょう)と逆に訊かれてしまった。

「まさにその2曲はかなり前に作った曲です。“Invitation”は『The World e.p.』の頃に完成させられなかったもので、“Finder”は『Gjallarhorn』の頃に作った最初期の曲です。特に“Finder”はアルバムを作るたびに入れようと考えていたくらい思い入れの強い曲なので、今回入れることができて本当に嬉しくて。いま聴くとかなり新鮮ですね」(滝)。

次はアルバムの名を冠した〈Revolutionary Tour 2010〉へと打って出る彼ら。その意気込みには、いつも以上に情熱的な語気が含まれていた。

「今回のアルバムはより強い言葉でハッキリとモノを言うというか……曲の持っている切実さが伝わるような作品にしたんです。その思いがしっかりと届けられるツアーにしたいですね」(菅原)。

 

▼9mm Parabellum Bulletが参加した作品を紹介。

左から、くるりのトリビュート盤『くるり鶏びゅ~と』(NOISE McCARTNEY/スピードスター)、THE YELLOW MONKEYのトリビュート盤『THIS IS FOR YOU~THE YELLOW MONKEY TRIBUTE ALBUM』(ARIOLA JAPAN)

 

▼9mm Parabellum Bulletの作品を紹介。

左から、2009年のライヴDVD『act I』、2009年のシングル『Black Market Blues e.p.』、『Cold Edge e.p.』、2010年のシングル“命ノゼンマイ”(すべてEMI Music Japan)

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2010年05月18日 22:50

更新: 2010年05月18日 23:05

ソース: bounce 320号 (2010年4月25日発行)

インタビュー・文/冨田明宏

記事ナビ

  • 9mm Parabellum Bullet 『Revolutionary』