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インタビュー

ナボワ

より多彩なグルーヴを獲得した、京都の路上発の4人組

2004年に京都で活動を始め、ストリート・ライヴを中心にクラブ、カフェ、お寺、百貨店内など、あらゆる場所でライブを行いながら自由で心地よいインスト・サウンドを奏でてきたNabowa。同じくヴァイオリンをフロントに擁するROVOや同郷のSOFTなどからの影響を根底に感じさせつつも、よりデイリーに楽しめる親しみやすさとメロウさを持った彼らの音は、ジャム・バンド勢やサーフ系インストなどとリンクする今っぽさを持ちつつも、そこにハマり切らない独自性を自然体で獲得している。

「ヴァイオリンの山本はNabowaを始めるまでは完全にクラシックしか弾いたことがない人だったし、リズム隊はラテンやジャズなどのブラック・ミュージックが好きだったりと、4人ともがまったく違う音楽が好きなところから始まって。そこからお互いに歩み寄ったり歩み寄らなかったりで、今に至るという感じですね」(g・景山)

フルアルバムとしては2作目となる最新作『Nabowa』は、ジャジーなギターにアッパーなブレイクビーツとスティール・ドラムの加わる冒頭曲から、 和みよりも攻めの姿勢。SOIL&'PIMP'SESSIONSの元晴(sax)やSOFTのトランペット奏者らを迎えての長尺なラテン・ジャズ・ロック調のセッションや、ACOとNAOITO(KINGDOM☆AFROCKS)を起用しての2曲のボーカル曲など。1曲ごとに違ったアプローチとグルーヴを展開する多彩な作りで、ジャム・セッション的な作風だった1stアルバム『flow』(08年)を録音した頃から比べると飛躍的にスケール・アップしたバンドの現在を表現し切っている。

「これまでに出してきた作品で〈Nabowa=ユルい〉というイメージで定着してしまったので、今回はそれだけじゃないアグレッシヴで男らしい部分を表現したかった。1stアルバムの頃には出来なかったことや、その後に見えてきたことを全部やってみようということで、1曲ずつしたいことをしっかり詰めて曲作りを進めていけたので、引き締まったモノにできたと思います」(景山)

その一方で、例えば生演奏のジャジー・ヒップホップ風な楽曲でもヴァイオリンは決して〈それ風〉には弾いていなかったり、2000年前後の砂原良徳とのコラボ期を彷佛させるACOのボーカル曲も、よく聞いてみると実に変則的なメロディであったりと。どの曲にも彼らならではの化学変化が感じられる点もまた聴き逃せない。

「4人いることでのバランス感覚は大事にしていますね。例えば、リズム隊が黒いノリが強いことをやっていたら、ヴァイオリンやギターで逆に明るめでそれとは違う風景をもってくることで、両方を引き立てながら独自のアンサンブルが生まれるんじゃないかと」(ds・川上)

ヒッピー的な志向はないけれど、音楽的には90年代に英国からピースフルかつ無国籍な秀作を連発していたムーンフラワーズ一派を思わせたりも。京都の路上発の4人組はまだまだ未開の引き出しを多く残していそうだ。

Live Information

6/25(金) 四日市 subway bar ○7/10(土) 豊橋 grand space Quark ○7/11(日) 静岡 freakyshow ○7/17(土)京都 磔磔 feat. ACO / 大前チズル(A Hundred Birds) ○7/18(日)福岡 ROOMS feat. ACO ○7/19(月)熊本 Django feat. ACO ○7/21(水)久留米 club soleil feat. ACO ○7/24(土)長野 ピカデリーホール feat. ACO / Naoito(KINGDOM☆AFROCKS)/ 大前チズル(A Hundred Birds) ○7/25(日) 東京 代官山UNIT with ACO / 七尾旅人 feat. ACO / 大前チズル(A Hundred Birds)

カテゴリ : インタヴュー

掲載: 2010年06月25日 12:10

更新: 2010年06月25日 12:19

ソース: intoxicate vol.86 (2010年6月20日発行)

interview & text : 吉本秀純