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インタビュー

HYENA 『Session for“THE ALBUM” Apr 22, 2010』

 

歌心に溢れた語り口で自身の物語を切り拓いてきた男が、いよいよメジャーへ侵攻! 車線変更した先に待ち構えているものとは……?

 

 

95年にラッパーとして活動開始し、以来日本のウェスト・スタイルの王道を歩んできたHYENA。数多くこなしてきたライヴや、人気DJのFILLMOREとの共作を含めたリリース作は言うに及ばず、客演のオファーにも精力的に応えてきた活動歴は、広くシーンが認めるところだ。その彼が、初リリースから7年を数える今年、ついにメジャーへ進出した。移籍第1弾となる最新ミニ・アルバム『Session for“THE ALBUM”Apr 22, 2010』は、これまでのリリース作で段階を踏んできた末に到達した、彼念願の一枚。「自分の好きなヒップホップをようやく思う存分できる」と現在の心境を語りながら、HYENAは続ける。

「1枚目の『FAR WEST MOST WANTED』はトラックもリリックのテーマもウェストコースと寄りのものばかり。そこに音的にラガだったり、テーマももうちょっと広げた曲も入ったのが2枚目の『DIRTY SWANGIN'』。レペゼン日本のメッセージを打ち出した3作目の『THE KNOWLEDGE ON EIGHT-ONE-HIGH』でようやくわかりやすい音をやっても文句を言われないところまでハードコアなこともやったから4枚目の『THE LIFESTYLE』で“ツレの唄”を作った。さらにウェッサイにこだわりすぎずに作っていったのが今作です」。

メロディアスなラップ、曲調を極めた代表曲“ツレの唄”の延長ともいうべきキャッチーな“Dream Goes On~真昼の夢~”をはじめ、レゲトンばりのビートとの絡みや、出会い系詐欺を騙される側から描いた勘違いストーリーもの、さらにフル・アルバムから先行収録した2曲のスクリュー・ミックス……「Bボーイくんにしか理解されないような曲だけではリスナーも広がらない」という自身の気持ちを、硬軟取り混ぜた音楽性と内容で示してみせた『Session for“THE ALBUM”Apr 22, 2010』。それはこの後に続くフル・アルバム『THE ALBUM』へのイントロであるばかりでなく、HYENAというラッパーの全貌がようやっと示される新たな出発ともなるのだ。

「ウェッサイ・シーンにいられることはいまでもメチャメチャ誇りだし、大事に思ってる。だからそのスタイルは絶対やらなきゃいけないですけど、何よりここは日本。カッコ良い音があったら全部ラップを乗っけたいし、(アルバムには)いまの自分の好みの音が出ると思います」。

そんなHYENAのヒップホップがフル・スケールで陽の目を見る日も、もう間近だろう。

 

▼関連盤を紹介。

左から、HYENAの2006年作『THE LIFESTYLE』、HYENA AND FILLMOREの2007年作『DEAR MY FRIENDZ』(共にh.g.p.)

 

▼『SESSION』に参加したアーティストの作品を一部紹介。

左から、荒牧陽子の2010年作『Anytime musix』(CPC)、KUROCODAiLLの2008年作『THE STREET JOINT』(KSR)

 

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2010年07月05日 14:32

更新: 2010年07月05日 14:33

ソース: bounce 322号 (2010年6月25日発行)

インタビュー・文/一ノ木裕之