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インタビュー

映画『ベンダ・ビリリ! 〜もうひとつのキンシャサの奇跡』スタッフ・ベンダ・ビリリ+ルノー・バレ、フローラン・ ドラテュライ監督インタヴュー

コンゴはキンシャサのバンド、ベンダ・ビリリは、多くの意味で特別なバンドだ。全員が身体障害者、中古バイクを改造した車椅子に乗った音楽仲間が、街中で集まり音楽を演奏するようになったのがその発端だった。2003年結成当時はホームレスのメンバーもいた。

「夜キンシャサの町を歩いていたんだ。どこからともなく聞こえてくる音楽、それがベンダ・ビリリだった。彼らの演奏している様子を近くで見て虜になった。ダイアモンドを見つけたような気持ちだった」と語るのはルノー・バレ。コンゴについて執筆中のガールフレンドに誘われ何となく訪ねたキンシャサでベンダ・ビリリに出会った。グラフィック・デザイナーの彼と、親友でカメラマンのフローラン・ ドラテュライの二人のフランス人は、以後7年間パリとキンシャサを往復、ベンダ・ビリリ体験をカメラに収めることになる。そして生まれたのが『ベンダ・ビリリ!〜もう一つのキンシャサの奇跡』だ。

「彼らの物語は僕らの物語でもあるんだ。最初から僕らはの人生は一緒だったんだよ。究極的なゴールは彼らのアルバムを作ることにあった。彼らはいつ死ぬかもしれない境遇にいたし・・。彼らは世界一有名な身体障害者のバンドになろうとした。何度も屈し、復活し。その彼らのエネルギーが僕らにも伝染したんだよ」と続ける。

映画作りの経験もなく、音楽業界の人間でもない二人は、私産と時間を投じ、この無名のバンドをレコード契約に結び付け、同時に貧困と苦境を乗り切り音楽を続けるバンドの人生をリアルタイムで映像にした。道端から生まれたというベンダ・ビリリの音楽の発するエネルギーも圧倒的だが、加えて目を引くのは、空き缶を改造した不思議な1弦楽器を弾く若干19歳少年ロジェ。

フローラン・ ドラテュライルノー・バレ

「この楽器はサトンゲという名前で、腕が1本、 足が1本、目がひとつというコンゴの伝説の人物を指しているんだ。8歳のときにこの楽器を開発した。ギターは大きすぎて弾きにくい。自分がここちよく弾ける大きさのギターのような楽器がほしかったから」と撮影当時は12歳だった彼が語る。実は二人の監督の口ききでベンダ・ビリリに加入した。

「初めて会ったときクレイジーな瞳の面白い楽器を持った少年に強烈な印象をうけた。彼は自分が音楽をやっているとう意識さえなく、体で音楽を感じ演奏し歌っていた。1年連絡が途絶えたが、レコーディングの直前に突然姿を現した。それで彼をリッキーに紹介したんだよ」とロジャーとの出会いを語る監督のフローラン。映画にもうひとり主役がいるとしたらキンシャサという町。バンド・リーダーのリッキーが語る。

「生まれたときから音楽があった。子供のころは教会で歌い、パパ・ウエンバのバンドにも参加したこともある。一生音楽に囲まれて生きてきた。映画の中に出てくるように、私の子供たちも同様音楽に囲まれて育ってきた。キンシャサという町自体が音楽に溢れた町なんだ」

これは単なる映像作家が作ったバンドの1ドキュメンタリーではない。音楽で結ばれた人々の生き様の記録なのだ。

 

映画『ベンダ・ビリリ!~もう一つのキンシャサの奇跡』
監督:ルノー・バレ&フローラン・ドラテュライ
配給:ムヴィオラ、プランクトン(2010年 フランス)
◎9月11日(土)より、
シアター・イメージフォーラム他全国順次公開!
http://bendabilili.jp/movie/

 

スタッフ・ベンダ・ビリリ待望の初来日(9.25(土)〜10.17(日))

9/25(土)宮城・仙南芸術文化センターえずこホール
9/26(日)静岡・焼津市文化センター
9/29(水)30(木)大阪・堂島リバーフォーラム
10/2(土)茨城・つくばカピオホール
10/3(日)福島・いわき芸術文化交流館アリオス
10/9(土)愛知・長久手町文化の家
10/10(日)神奈川・よこすか芸術劇場
10/11(祝)東京・日比谷野外音楽堂「World Beat」
10/13(水)福岡・アクロス福岡シンフォニーホール
10/16(土)長野・まつもと市民芸術館
10/17(日)東京・三鷹市公会堂
http://bendabililoi.jp

カテゴリ : インタヴュー

掲載: 2010年09月24日 22:30

更新: 2010年09月24日 22:55

ソース: intoxicate vol.87 (2010年8月20日発行)

nterview & text: 高野裕子