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インタビュー

島袋寛子

モーツァルトの妻を、再び帝劇の舞台で。

ミヒャエル・クンツェ(脚本・歌詞)とシルヴェスター・リーヴァイ(音楽)といえばヒット・ミュージカルを現代に送り出す黄金コンビ。今年、帝国劇場では彼らのウィーン発・3作品を相次いで上演し話題を呼んでいるが、11月からはついに人気の『モーツァルト!』が登場。音楽史が誇る〈天才〉の生涯をキャッチーな楽曲で綴った本作、帝劇では4度目3年ぶり。主役であるヴォルフガングの妻・コンスタンツェを演じるのは07年に続いて、SPEEDの伸びやかなメイン・ヴォーカルとしてあまりにも有名な島袋寛子だ。

「前回はミュージカル舞台デビューで、何もかもが勉強。公演は毎日続くので、とにかく先を見過ぎず、失敗を気にせず、着実に前に進んでいくことを心がけて頑張りました。絶対またやりたかったので、願いが叶って嬉しい」

共演陣も豪華で02年の日本初演以来、不動のキャストも少なくない。主演はデビュー10周年を迎えたミュージカル界の〈プリンス〉こと井上芳雄と、今回初参加となる若手のホープ、山崎育三郎とのダブル・キャスト。

「ひとりで歌っている部分よりも、誰かと一緒に歌い上げる所が好きです。舞台は〈生もの〉で、相手の体調も演技も毎日微妙に違うので、それを感じ取って自分の歌唱を合わせていくことに手応えが感じられるから。主役の2人とは先日の記者会見でも少し歌いましたが、全然タイプが違うので、稽古が始まるのがとても待ち遠しい」

その短過ぎる幸福の日々を想うと切なくもロマンティックな名デュエット・ナンバー《愛していればわかりあえる》他、聴きどころも多い。

「個人的にはヴォルフガングの代表曲《僕こそ音楽(ミュージック)》を毎日聴くのが楽しみでした。ちょうど私がメイクを直している時間に歌われるんですが(笑)、あの明るく生き生きとした歌こそが、彼の本当の姿だと思ってあげたい。あれを聴くと、コンスタンツェの彼に対する愛情が自分でもうまく実感できる気がします」

〈神童〉の名をほしいままにしていたヴォルフガングが、やがてその才能ゆえに絶望へと追い詰められていく悲劇。そこにはすれ違う夫婦の姿も描かれている。

「彼を深く愛すればこそ葛藤が生まれ、自分を見失ってしまう女性の〈こんなはずじゃないのに〉っていう気持ちは私にもよくわかります。役にのめり込みすぎて、舞台が終わってもしばらくぼおっとしてしまう程に(笑)」

08年にSPEEDが再結成され、今年も4月~7月にかけて全国ツアーを成功させたばかり。04年からはCoco d'Or名義でジャズ・シンガーにも挑戦と、多方面で活躍中の彼女。

「ジャズ・プロジェクトの方も、ゆくゆくは第3弾をぜひ実現させたいと思っていますが、今はこの舞台に集中したい。ミュージカルを観るのが初めての方も、絶対楽しめる作品だと思うので、劇場に足を運んでみて下さい」

  『モーツァルト!』

11/6(土)〜 12/24(金)
ミヒャエル・クンツェ(脚本・歌詞)&シルヴェスター・リーヴァイ(音楽)小池修一郎(演出・訳詞)

<キャスト&スタッフ>
井上芳雄・山崎育三郎(ヴォルフガング・モーツァルト[Wキャスト])
高橋由美子(ナンネール[モーツァルトの姉])/島袋寛子(SPEED)コンスタンツェ[モーツァルトの妻])/香寿たつき・涼風真世(ヴァルトシュテッテン男爵夫人[Wキャスト])/山口祐一郎(コロレド大司教[ザルツブルクの領主])/市村正親(レオポルト[モーツァルトの父])
http://www.tohostage.com/mozart/

カテゴリ : インタヴュー

掲載: 2010年10月19日 17:55

更新: 2010年10月20日 11:32

ソース: intoxicate vol.88 (2010年10月10日発行)

interview & text : 東端哲也