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インタビュー

LONG REVIEW――スネオヘアー 『赤いコート』

 

スネオヘアー_J

環境を変え、「ゼロからのスタート」とみずから語る移籍第二弾。とはいえ突然弾き語りや宅録になるわけでもなく、スネオヘアーにとってのゼロ地点はあくまで純粋なポップソングで、シンプルなメロディーに緻密なアレンジを伴った完成度の高いものだ。

タイトル曲“赤いコート”は、アコーティック・ギターの瑞々しい旋律を骨格にパーカッションやベル、カスタネットなどの鮮やかな彩りを添え、さらに哀感漂うラテン風フレーズを混ぜ込んだアコースティック・ポップの逸品。続く“Walk & Joy”は、元々2004年の中越地震に対する復興支援に感謝するイヴェントのために書かれた曲ということもあってメロディーは切ないが、温かく、包み込むようなオルガンの響きとスローテンポで刻まれるリズムが心地よい。3曲目“Beep Yeah”の原曲は非常に古く、インディーズで活動を始める前からあったそうだが、淡々としたメロディーと激しいギター&ドラムのパートが交互に現れるところに、90年代グランジ~オルタナの流れが感じられる。ラスト曲“メールして”はクールな4つ打ちのリズム、ピアノ、ミニマルなギター、歌のコーラスが重なり合う独特の浮遊感がおもしろい。

以上4曲、音楽家・スネオヘアーの才能の大きさを再確認できる佳曲揃いだが、歌詞の背景に脈々と流れる深い哀感と孤独、そして新しい扉を開けたいというこれまで以上に切実な願いが、ただ耳を通りすぎることを許さない。凄みのある大人のポップソングの世界へ、スネオヘアーは全身で突入しつつある。

 

カテゴリ : .com FLASH!

掲載: 2010年12月08日 17:59

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