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インタビュー

INTERVIEW(4)――ちゃんと生きていきたい

 

ちゃんと生きていきたい

 

――なるほど。ちょっと話が戻っちゃいますけど、さっき〈中学のときから歌詞を書いてた〉って言ってたじゃないですか? それは何かきっかけがあったんですか?

工藤「まあ、浅はかな考えだったと思うんですけど……病んでた気がしますね。〈ならでは〉みたいな」

――思春期特有の。

工藤「そうですね(笑)。ノートの切れ端に書いて、それを筆箱に入れてたんですよ。筆箱を落としたときなんて、最悪ですよね。誰かに拾われて〈工藤が何か書いてるぞ〉なんて言われたりしたら……」

――(笑)工藤さんにとっては、自己表現の始まりだったんでしょうね。

工藤「うん、そうだったと思います。僕、スポーツがてんでダメだったんですよ。勉強も中くらいだったし、何もできることがなかったんですよ、ホントに。このままだと、引き籠もるしかないんじゃないかって」

高橋「ゲームやるしかない、って(笑)」

工藤「そういう感じでもないんだけど(笑)。ただ、何でもいいから自分の武器が欲しい、っていうのはあったと思います。で、おじいちゃんの部屋にあったギターを弾くようになって、ひとりでコピーを始めて。誰にも聴かせたことはなかったですけど」

――じゃあ、初めてのオリジナル曲で大会に挑むときって〈やってやる〉っていう思いもあったんじゃないですか?

工藤「いや、び、び、びびってましたね(笑)」

高橋「いまもびびってるみたいだけど」

工藤「(笑)いや、〈やってやる〉っていう気持ちもあったとは思いますけどね。年末のイヴェント(〈COUNT DOWN JAPAN〉)もそうですけど、でかいステージに挑むときって、〈自信がない自分〉もちゃんと持っていたほうがいいと思うんですよ。不安があったほうが、2倍、3倍の力が出るんじゃないかなって」

――なるほど。では、音楽は自分の武器っていう意識はありますか?

工藤「そうですね。音楽の話しかできないし……このふたりは〈モンハン(モンスターハンター)〉の話とかもできるけど」

大森「できないよ(笑)」

工藤「まあ、僕は音楽以外、大しておもしろいことも言えないですからね。でも、いいんです。ひとつあれば」

――『宿り木』によって、Anyの音楽、工藤さんの歌に触れる人も増えると思いますが。

工藤「そうですね、自分たちの代名詞って言えるアルバムになったので。ただ〈テンションを上げたい〉みたいなときには向いてないかもしれないなって。それよりも〈自分のことをきちんと考えたい〉〈ちゃんと生きていきたい〉って、ちょっとでも考えてる人にはきっと響くんじゃないかなって思います。時間はかかるかもしれないけど、このアルバムのなかのメッセージを感じてもらえたら嬉しいですね」

 

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掲載: 2010年12月22日 18:01

インタヴュー・文/森 朋之