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インタビュー

ねごと “カロン”

 

ねごと_特集カバー

 

[ interview ]

きっとこの曲で、ねごとのことを知った人も多いはず。携帯電話のCMソングとしてオンエアされ、各方面から賞賛と共感を呼んでいる“カロン”が、いよいよファースト・シングルとしてリリースされる。キラキラと眩いメロディーを乗せて駆け抜けるような曲調、鮮やかなイメージが膨らむ言葉に満ちた歌詞と、フレッシュなガールズ・バンドとしての彼女たちの魅力を詰め込んだこの曲。実はバンドにとっても〈本当の始まり〉を示す記念すべきナンバーだったようだ。楽曲の生まれた裏側を、じっくりと訊いた。

 

 

新たな始まり

 

――“カロン”を聴いた第一印象として、この先どれだけバンドが続いてもずっと大事であり続けるタイプの曲――いわゆる〈デビュー曲〉のような、名刺代わりとなる楽曲だと感じたんですけれども。そういうものが出来たという実感はありました?

蒼山幸子(ヴォーカル/キーボード)「そう言っていただけるのは初めてなんですけれども。でも、やっぱりこの“カロン”は作るのに時間もかかったし、本当に悩みながら作った曲なんです。だからそれだけの熱量がこもっていて。自分たちのなかでもこの曲が新たな始まりになった気がすごくしていますね」

――まず、この曲が出来上がったのはいつ頃のことなんでしょう?

蒼山「去年の5月ですね“透き通る衝動”(ファースト・ミニ・アルバム『Hello! “Z”』収録)を作ったのと同時期くらいです」

――デビューが決まってから書いた曲?

蒼山「そうですね。“カロン”はもともと、『Hello! “Z”』のリード曲のつもりで作ったんです。だから“透き通る衝動”とも同時期だという。最初は“ループ”を入れる予定じゃなかったんですね。そういう意味で、“カロン”は本当に初めて〈人に聴いてもらうんだ〉ということを意識して作った曲ですね。〈これがねごとです〉って言って世の中に出ていくための曲というか。で、3月に曲作りの合宿があって、そこで作らなきゃいけないというので、4曲くらい候補の曲を持っていったんです。けれど、それをデモにしたら〈このなかにリード曲はないんじゃない?〉って言われて。それまでは、聴きやすい曲を作ることでバンド感が損なわれてしまうということを自分たちのなかで恐れていたんですよね。頑なに格好良い曲を作ろうという。それで初めてみんなでミーティングをしたんです」

――ミーティングでどういう話をしたんですか?

蒼山「〈どういうのがたくさんの人に聴いてもらえる曲なんだろう〉ということを話しました。それまで自分たちはポップという言葉を、嫌だなとか、ダサいなとか、そういうふうにしか思ってなかった。でも、ポップというのはポピュラリティーって意味なんだよって話を聞いて。で、ねごとは、バンド感もあって格好良いけれどポピュラリティーもある曲を作ればいいんじゃないかって話になって。それを聞いて〈ああ、そうだな〉って思ったんです。それまで意識が狭かったのが、もっと振り切っていろいろやってみようというふうに変わって。そのすぐ後に“カロン”のオケが出来たんですね」

――“カロン”は歌詞よりも曲が先に出来たんですよね。曲はどういうふうに出来ていったんでしょうか?

沙田瑞紀(ギター/コーラス)「その話し合いがあった後に、イントロのピアノのフレーズが浮かんで。そこからは駆け足で、2時間くらいで出来ました。個々の楽器の細かいアレンジはその後にじっくりやったんで、その点はすごくこだわったんですけど。コード進行と曲の大体の形は、あっという間に出来ましたね」

――ドラム・パターンも独特の感じがありますよね。このドラムが曲の疾走感を生んでいると思うんですけれども。このへんもこだわって練ったところだったんでしょうか?

澤村小夜子(ドラムス/コーラス)「AメロやBメロはみんなで合わせた時点で決まりましたね。でも、サビ前の長いフィルとか、サビのなかのフィルとかは、その日の夜に、一人でベッドのなかで考えたりしてました」

――では、曲の骨格が出来上がったところで、どういう印象がありました?

蒼山「〈すごいな〉って思いました。半端ない熱量みたいなのを感じて。これにいいメロディーと歌詞がついたらいい曲になるだろうという予感がしていて。それくらい、オケの時点でわあっと広がっていく感じがありました」

藤咲佑(ベース/コーラス)「疾走感をなくしちゃいけない、とは思いましたね。ベースはいろんなラインを考えたんですけど、複雑にしすぎると疾走感が失われるなって思って。だから、できる範囲のなかで疾走感を保ちつつ動けるものを作ろう、という」

 

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掲載: 2011年02月23日 18:01

インタヴュー・文/柴 那典