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インタビュー

INTERVIEW(4)――寸止めの美学

 

寸止めの美学

 

――では最後の“国産バイブレーション”ですけども。これは解説によるとハードコアらしいですが……。

桃野「僕、去年はフガジとかバッド・レリジョンをすごく聴いてて、もう好きで好きで……っていう、そういう思いから書いた曲で。でも、僕が書くと絶対違ったようになる。そこがすごいMONOBRIGHTらしい」

出口「フレーズの選び方だったりとか、コードの組み立て方はちょっと受け継いでるところがあるので、わかる人が聴くと〈そういうことだよね〉っていう。ポイント、ポイントで、隠しワードみたいな感じで入ってるんだなーって思いますね」

桃野「フガジをどんなに聴いても〈ポップなもの〉っていう風にアレンジしていくと自然と離れる。もともと自分が持ってるものではないので、ポスト・ハードコアっていうのは」

――ちなみに、去年はなぜそれほどにフガジを聴いてたんですか?

桃野「たぶん気合いが入ったんだと思います。去年は〈DO10!!の攻約宣言!〉という、10項目の公約を宣言したんで、気合いかましてやりたいな、みたいな気持ちはあったんじゃないかな。

ヒダカ「フガジは聴き手に緊張感を強いるバンドなんで。ストレス発散にはなんない。より緊張が高まる」

桃野「それならアット・ザ・ドライヴ・インみたいに、ワーッていってるほうがね」

ヒダカ「ストレス発散には、確かにアット・ザ・ドライヴ・インのほうだね。フガジは爆発しそうでいて、寸前でやめちゃうからね、必ず」

桃野「寸止めの美学が。寸止めって変態性を感じるんですよね。その要素をフガジにも感じてたんで、そういう曲を作りたいなって」

――私個人としては、アット・ザ・ドライヴ・イン的な要素もあると思いますよ。エモさというか。

桃野「そうですかね。アット・ザ・ドライヴ・インは高3のときとか、自分としてはタイムリーに出てきて衝撃だったんで、“英雄ノヴァ”でもそうだったんですけど、そういう自然な影響はありますよね」

――とは言え、いろいろ混ざっちゃって。

桃野「そうですね。ヒダカさんの持ち前のエロさも織り交ぜたいっていう気持ちもありますし。エロおもしろくする要素だったり、ポップな要素だったり」

ヒダカ「だいぶポップになったよね。原曲はプチ変拍子風な感じで。変拍子まではいかないですけど、ちょっと裏から入って表にひっくりかえるみたいな仕掛けがあったりもしたんで、フガジほどの緊張感は薄めて。よく聴くとシンセベースが入ってるんで、そこで緊張感を足してるみたいな。緊張感というか継続感的な。だからどっちとも言えないよね。アメリカンでもないしブリティッシュでもないし」

桃野「こういう曲をやるときに、僕のイメージ的にはヒダカさんに丸々歌ってもらったらおもしろいんじゃないかっていうのもあったんですけど、〈そこは桃野歌えや〉っていう(笑)。だからBメロだけ歌ってもらって」

――で、ラスト直前で突然サイケなコーラスが。

桃野「あの急に変わる感じ。やっぱりポップと言えば、ビートルズの要素は入れたいなっていうことで」

ヒダカ「最後、大団円の前に肩透かししたほうがいいだろうっていう」

桃野「そうですよね。ああいう肩透かしってXTC、よくやるなって思ったんで。自分らのルーツ的にもいいなっていうので入れました」

 

MONOBRIGHT_A_MOMONO

 

――発端はポスト・ハードコアでも……。

ヒダカ「まんまフガジにはならないね」

桃野「ならないですね。いろんな要素を入れたくなるし。あの肩透かしがあるぶん、ちょっと独特な曲になったなって」

――ですよね。申し訳ないですけど、爆笑しました。

ヒダカ「正しいと思います(笑)」

松下「笑ってほしいんですけどね、こっちとしては。いままでは、そういうことやっても真面目に取られちゃったりするところがあったんで。笑ってるのは僕らだけ、みたいな。そこをうまく伝える方法っていうのを、今回のシングルとか、次のアルバム『ACME』では狙ってるんで」

ヒダカ「下手すると、タッキーですら笑ってないときあるからね、メンバーなのに(笑)」

桃野「タッキー、意外と国民目線。タッキがー笑うと、もしかしたらみんな笑うかもしれない」

――となると、ハードルはかなり高いような(笑)。そして歌詞は、お馴染みのエロ路線ですが。MONOBRIGHTのエロさって、バカバカしさと裏表な印象がすごくあって。そこがいいんですけど(笑)。

桃野「男がエロい歌を歌うとしょうもないというか、男のカッコ悪い部分が出るんですけど、それが男だからしょうがない。おバカって受け取ってもらって結構なんで、それが自分の自然な姿だっていうのが伝わってほしいなって」

ヒダカ「俺が入るまで、良くも悪くもそういう生々しいバカバカしさって伝わってなかった。だけど、そういう生々しさをバカバカしさにうまく変換していかないと、みんなひいちゃうだけだから。普通の健全な男子目線なんですよ、こっちとしては。そこが女子リスナーに伝われば。ちょっとクスって笑ってもらうぐらいでもいいんです」

桃野「男はもちろんわかると思うんですけど、女の人にもわかるように」

ヒダカ「あと、タッキーも笑えるようなやつをね(笑)」

――(笑)そしてトータルとしては、とんでもなくパワフルな4曲が揃ったのかな、と。

ヒダカ「リズム隊が元気だよね、普段はすごくおとなしい二人なのに。『淫ビテーション e.p.』ではウワモノでいろいろ遊べたんで、今回はリズム隊で。そういうシリーズになりましたね」

 

カテゴリ : .com FLASH!

掲載: 2011年03月02日 18:00

更新: 2011年03月02日 18:53

インタヴュー・文/土田真弓