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インタビュー

AUTOMATIC LOVELETTER 『Truth Or Dare』

 

 

US本国ではすでに絶大な支持を獲得済みのマスト・チェックな女性ヴォーカル・バンドが、4月に行われる〈PUNKSPRING〉への参戦を発表した。それが本稿の主役であり、かのAP誌も〈ロックを代表するヒロインになる〉と太鼓判を押すオートマティック・ラヴレターだ。

「私にはロマンティックな部分もクレイジーで尖った部分もある。そんな私から自然に湧き上がったものを、このバンドで表現しているのよ。そう、ラヴレターを書くような感覚に近いんじゃないかしら!?」(ジュリエット・シムズ:以下同)。

フロリダ州はタンパで生まれ、多感な10代をLAで過ごしたというジュリエットと、「サイド・プロジェクトではリード・ヴォーカルを担当するほど歌唱力もあるし、プレイヤーとしてもどんな楽器だってこなせるし、ソングライターとしても素晴らしいわ! 音楽を視覚的にも捉えられる天才」と全幅の信頼を寄せる実兄のトミー・シムズを中心に結成。バンドは〈ワープト・ツアー〉などを通じて、すぐさまポップ・パンク/エモ・シーンの次世代スターとして注目を集めるようになった。

取材当日のジュリエットは、マッドネスのTシャツを自分でホルターネックにリメイクしたというトップス(背中が丸見え!)に、細長い足を際立たせたグリッターなレギンス姿で登場。3月に日本盤化されるファースト・アルバム『Truth Or Dare』のジャケとは別人のような、ワイルドでセクシーなルックスは気軽に声をかけられないほどカリスマティックだ。しかも、「ロバート・プラントに憧れて太くワイルドになるよう鍛えた」と語るヴォーカル同様に、話し声もハスキーでいかつい。だが、インタヴューが始まると一転して、理想の男性を「ロミオ!」と答えたり(自分の名前に引っかけたジョーク?)、大好きなディズニー話にテンションを上げてみたり(“To Die For”ではたくさんのディズニーキャラの名前が登場する)……とあどけない表情を披露。3OH!3やオール・タイム・ロウなど人気アーティストからジュリエットへの共演オファーが絶えないのは、ヴォーカリストとしてのスキルはもちろん、人柄の良さも関係しているんだろうな~……なんて考えているうちに、筆者も気付けば彼女の虜になっていたのである。

そんなジュリエットにますます親近感を抱いたのは、2008年のファーストEP『Recover EP』以来幾度も再録され、今作にも収められているバンドの代表曲で、恋人との別れを覚悟して涙を流すシーンを描いた切ないバラード“Hush”について、こんなコメントを聞いた時だ。

「とても大切な曲よ。実はあのPVに出ているのは当時本当に付き合っていたカレ。撮影した頃はまだ別れていなかったんだけど、実体験を描いたわ。涙を含めてあのPVは完全にリアルなの」。

真実を歌詞に綴ることを彼女はポリシーとしているらしく、『Truth Or Dare』に収録された曲の多くは“Hush”の元カレと、その次に付き合ったボーイフレンドについて書かれているという。ちなみにアルバム・タイトルは、USのティーンがよくやるゲーム(秘密を告白するか、命令に従うかを選択する王様ゲームのようなもの)のこと。なるほど、確かに赤裸々な告白が次から次へと飛び出してくる。結成当初には見られなかった重たいテーマを持つミディアム曲“Fade Away”も、「お兄ちゃんとドライヴ中に事故で死にかけた経験を元に書いたの」と明かしてくれた。

余談だが、彼女の左腕にはビリー・ジョエル“Only The Good Die Young”の歌詞が刻まれている。「人生をシリアスに受け止めすぎずに生きなきゃって思ってね。それで、幼い頃によく聴いていた、私にとってとても大切な曲を腕に彫ろうと決めたの」と数か月前に入れたそのタトゥーを嬉しそうに見せてくれた。奔放なまでに自分に正直に生き、それを音楽で表現しているジュリエット。彼女の生の魅力を、ぜひ多くの日本のリスナーにも体験してほしいと思うのだが……。

「そうね! 〈PUNKSPRING〉を本当に楽しみにしているわ。フロアへダイヴするから覚悟していてね! Love You!」。

 

PROFILE/オートマティック・ラヴレター

ジュリエット・シムズ(ヴォーカル/ギター)、トミー・シムズ(ギター)、ライアン・メットカルフ(ドラムス/パーカッション)から成る3人組。2006年にフロリダ州はタンパで結成。翌年12月にエピックからファーストEP『Recover EP』を発表。その後、〈バンブーズル〉や〈ワープト・ツアー〉への参加を経て、2009年3月にセカンドEP『Automatic Loveletter』を配信リリース。精力的なライヴ活動を行う傍ら、2010年にはジュリエットがセカンドハンド・セレナーデ“Hear Me Now”や3OH!3“Careless Whisper”にゲスト参加して話題を集める。同年6月にファースト・アルバム『Truth Or Dare』(Epic/ソニー)を発表。3月2日にその日本盤がリリースされた。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2011年04月14日 15:23

更新: 2011年04月14日 15:24

ソース: bounce 329号 (2011年2月25日発行)

インタヴュー・文/宮原亜矢