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インタビュー

SILVERSTEIN 『Rescue』

 

着実に勝利を積み重ね、熱狂的な支持を獲得してきたカナダの雄が、新たなステップへと踏み出した!

 

イエローカードと同じくホープレスへと移籍したシルヴァースタイン。世界中を飛び回り、いまやカナダを代表するロック・バンドとして確固たる人気を誇りながら、いまだにインディー精神を持って結成時の信念を貫きながら活動する貴重な存在だ。

ファースト・アルバム『When Broken Is Easily Fixed』でデビューを飾った2003年当時は、すでにフィンチやユーズドが頭角を現し、まさしくスクリーモ・ムーヴメントが巻き起こる最中だったことで、その後続バンドとしてUSやここ日本などでも注目を集めた彼ら。ただ、もともとハードコアやパンク、メタルといった異なるスタイルのバンドで活動していたメンバーが集まり、それぞれの特徴をひとつにした新しい音楽を作り出すことを目標に結成されたこの5人組は、決して誰かのフォロワーなどではない。続く2作目『Discovering The Waterfront』で確固たる音楽性を示すと、その後もシーンの移り変わりなど一切気にせず、どの作品でも一貫してみずからのサウンド・スタイルを貫いてきた。

「間違いを減らすことが最善の方法だと思ってるんだ。常に自分たちのキャリアを振り返ることで、過去に正しくできた事柄と間違いを見極め、同じ間違いを繰り返さないようにする。それって多くの人には気付かれないようなあまりにも小さな変化かも知れないけど、俺たちにとってはすごく重要なことで、進化成長すべきポイントもそこだと思ってる」。

こう語ってくれたシェーン・トールド(ヴォーカル)の繰り出すキャッチーなメロディーとハードなスクリームを軸に、パンク・ロックの疾走感やハードコアの攻撃性、メタルの重量感、そしてエモの哀愁——そのように異なる要素を楽曲個々で理想的なバランスにブレンドするシルヴァースタイン節は、移籍後初のフル・アルバムとなる新作『Rescue』でも健在だ。

「レーベルを移籍したことで、新たな活力を得られた感覚がある。今回は〈中途半端なものはいらない〉と、思いっきり突き詰めることができたし、めちゃくちゃ達成感がある。何より俺たち自身がこの新作に興奮してるんだ。さらに今後も音楽を作り続ける努力をしたいと強く望むようになった作品だね」。

表現する音楽性そのものに大きな変化はなくとも、楽曲個々の完成度を驚くほどに高め、かつ彼らの音をずっと聴き続けてきた自分がまるで新しいバンドに出会った時と似た興奮を覚えるぐらい、フレッシュなエネルギーに満ち溢れた新作は、間違いなく彼らの最高傑作だ。時代の変化に合わせることもなければ、流行を嫌って新しい道を模索することもなく、愚直なまでに自分たちの音楽を信じて突き進む彼ら。そのスタンスがファンとの太い絆を作り、じわりじわりと広がりを見せる——まさしく理想のロック・バンド像だ。

 

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★イエローカードのインタヴューはこちらから。

 

▼シルヴァースタインの近作を紹介。

左から、2007年作『Arrivals & Departures』、2009年作『A Shipwreck In The Sand』、2010年のライヴ盤『Decade』(すべてVictory)、ホープレスへの移籍作となる2010年のEP『Transitions』(Hopeless/KICK ROCK INVASION)

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2011年05月26日 14:45

更新: 2011年05月26日 14:45

ソース: bounce 330号 (2011年3月25日発行)

インタヴュー・文/上谷義秀(GrindHouse)