インタビュー

前田敦子 『Flower』

 

 

 

前田敦子、ソロ・デビュー! AKB48の絶対的エース、前田敦子が『Flower』
(映画「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」挿入歌)で
ついにソロ・デビューを果たす。楽曲に込めたメッセージから20歳を目前にした心境まで、
現在の〈あっちゃん〉の思いをしっかり語ってもらった。

 

 

「<ひとりじゃないんだよ>ってことに 気づいてもらえたら嬉しいです。
                                                           絶対、誰かに支えられてると思うので」

 可憐にしてピュアな声質、ひとつひとつの言葉を丁寧に紡ぎ出すヴォーカル・スタイル、
しっかりと抑制を効かせながら、楽曲の世界観をゆったり感じさせてくれる表現力。
やはり彼女には、シンガーとしての豊かなセンスが備わっていたようだ。

 

AKB48の中心メンバー、前田敦子が1stソロ・シングル『Flower』をリリースする。
「あっちゃん、ソロ・デビュー」のニュースは当然、日本中の注目を集めることになったわけだが、
「信じられなかったです。まさか自分でやるとは思ってなくて。最初はビックリしましたね」
彼女自身は、きわめて冷静にこの状況を受け止めているようだ。

 

「みんなで歌ってるのが楽しいなって思ってたので…。
でも、自分が主演させてもらった映画「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」の挿入歌ということも嬉しかったし、リリースが決まったときは本当に嬉しかったです。
ほかのメンバーの反応ですか? ともちん(板野友美)はレーベル・メイトなので、
私が言う前から知ってくれていて。「おめでとう。どんな歌なの?」っていう感じで言ってくれましたね。
あと、みいちゃん(峯岸みなみ)はいっしょに映画に出ているので、「いい歌だね」って。
ほかのメンバーには一切、言ってなかったです。自然と知った子もいるし、
名古屋のイヴェントで発表したときに初めて知ったメンバーもいると思いますね。
(大島)優子もそれまで知らなかったみたいですけど、「がんばって」ってメールをくれて嬉しかったですね」

 

アコースティックな手触りを持つバラード・ナンバー "Flower"。
秋元康氏が手がけた歌詞の印象について彼女は「たぶん、私のことを書いてくれてるんだと思います」と言う。

 

「私はすごく不器用だし、<ひとつひとつ>という感じじゃないと進んでいけなくて。
そのことは秋元さんもわかってくれているし、きっといままでのことを書いてくれたんじゃないかなって。
<花が咲いた>とは自分では言い切れませんが、「ここまで来るのにいろいろあったね」っていう歌だと
思います。と言っても、何かつらいことがあったか? って聞かれると、よく覚えてないんですけど(笑)。
でも、大変だった気はするので」

 

 

  さらに彼女は「すごく真摯で、ひたむきな歌だと思うんですよね」と言葉を重ねる。

 

「夢と努力がテーマなので。まだ最終目標まで行ってなくて、その途中段階にいる人が聴いても、
この歌と自分を照らし合わせることで励みになるんじゃないかなって。
あとは<ひとりじゃないんだよ>ってことに気づいてもらえたら嬉しいですね。
絶対、誰かしらに支えられてると思うんですよ。
私自身、歌いながら、聞きながら<ひとりじゃないんだな>っていうことを感じていたので」

 

  切ない情感が伝わってくるバラード "頬杖とカフェ・マキアート"、
「秋元さんが「こういう歌も歌えるんだね」って褒めてくれた」というポップ・チューン"この胸のメロディー"
など、そのほかの収録曲にも、<シンガー・前田敦子>の魅力がたっぷり。

 

「(カップリング曲で)いろんなタイプの曲を歌わせてもらってるんですけど、
ぜんぶ違うように歌いたいって思って、じっくり時間をかけてレコーディングさせてもらって。
AKB48の音楽ディレクターの方といっしょにやらせてもらったんですけど、
改めていろんな引き出しを開けてもらったなって。…でも、すごく不思議な気持ちになりますね。
私の声だけしか入っていない、1枚のCDが出来上がって……あんまり実感が沸かないです。
恥ずかしい(笑)」

 

  

 

 

 

 

  ソロ・シンガーとしての目標は? と聞いてみると、
「よくわからないですね…。できるだけ、歌の意味をしっかり伝えられる人になれればいいなって
思います。あとは、ゆっくりでいいから、アルバムを出してみたいかな。それが出来れば満足です」
という現実的な(?)答えが返ってきた。「<ひとつひとつ>じゃないと進んでいけないという彼女はいま、
しっかりと前を見詰めながら、ゆっくりと表現の幅を広げつつあるようだ。

 

「この1年間は本当にいろんなことをやらせてもらって、ビックリすることも多かったんですよ。
20歳前にソロ・デビューできるなんて思ってなかったし、映画主演っていうのも本当にビックリで。
だから「20歳になったら、どうがんばったらいいんだろう?」っていうのがいまの課題ですね。
人間づき合いをもっと深くしたいんですよ、私。メンバーとはすごく絆もあるんですけど、
それ以外のところでは全体的に人とのつき合い方が浅いような気がするので(笑)。
映画の監督さんもそうですけど、もっといろんな人とお話できれば、そこで教えてもらえることも
たくさんある気がするし…。
でも、毎日、お仕事しているっていうのがいいのかなとも思うんですよね。
その方が落ち着くし、楽しいんですよね」

  

 

 

 

■PROFILE…前田敦子(まえだあつこ)

91/7/10生まれ。千葉県出身。アイドルグループ「AKB48」のメンバーとしてはもちろん、
大河ドラマ「龍馬伝」(NHK/'10年)、「Q10」(日本テレビ/'10年)などの話題作に出演するなど、
女優としても活動中。 

 

   
記事内容:TOWER 2011/6/20号より掲載

カテゴリ : COVER ARTIST

掲載: 2011年06月20日 12:00

更新: 2011年07月01日 16:01

ソース: 2011/6/20

森朋之