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インタビュー

INTERVIEW(3)――1回きりの人生なら

 

1回きりの人生なら

 

――今回のファースト・アルバムにも、BOXER KIDと作った新曲“未体験ZONE”が収録されています。

「ファースト・アルバムやし、自分をフックアップしてくれたBOXERくんとは絶対に1曲作りたいと思ってました。トラックも“STAND UP!”でお世話になったAKIO(BEATS)くんにお願いして。このタッグで作りたかったんですよね。前回は何があっても立ち上がろうって曲やったんで、今回はガラっと変えてダンスホールの遊び方を表現しました。AKIOくんのスタジオで書いたんですけど、僕が4小節できたらBOXERくんが返すっていう録り方していって、現場のチューンを現場ノリで作っていく感じでしたね」

――アルバムのタイトル曲“Life time memory~いつまでも~”は昨年先行配信されていて、2万ダウンロードを突破。幅広い層に届くラヴソングでしたが、どんな想いで作った曲なんですか?

「結婚式でかけてもらいたいという前提で作ったのでハッピーエンドやねんけど、普通に過ごしていれば喧嘩もあるやろうし、ただ単に幸せなラヴソングにはしたくなかったんです。だから時期を3段階に分けて、1番では出会い、2番では付き合ったけど喧嘩もあって、3番で壁を乗り越えて結婚まで辿り着くっていう」

――“Life time memory~いつまでも~”の前に収録されている“ひまわり”には、曲同士の繋がりを感じますね。

「その“ひまわり”はRED SPIDERのJUNIORさんが楽曲提供してくれた曲なんですけど、かなり爽やかなオケやったんで夏の曲を書こうと思って。で、“Life time memory~いつまでも~”が夏に出会うストーリーやったんで、繋がるような曲にしようって決めてました」

――そんなところにも、セレクター時代の目線が出ててたり?

「そうですね。順番とか曲の流れは重要なんで。だから夏の歌でもほろ苦いチューンになってますね」

――アルバムのリード曲“Just One Future”はメッセージ・チューンですが、それこそ子供にも聴いてほしい内容ですよね?

「最近のクラブ規制(風営法)の影響で昼間のダンスが増えてるんですけど、そこに小中学生が遊びに来てくれるんで、そういうコらにも届けたいって気持ちがあって。だから、1回きりの人生なら、でっかい夢を最後まで追いかけようって想いをメッセージにしました。僕も目標を掲げてレゲエをやってきましたけど、けっこう浮き沈みも激しかったんで……」

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――どんなことがあったんですか?

「ちょっとトラブルに巻き込まれて、二十歳そこそこで何百万の借金を背負って。これから歌でやっていこうと決めたときやったんで、バイト4つ掛け持ちしながら返済してました。でも、そのことがなかったら、こんだけがんばれてなかったと思うし。ほんま崖っぷちやったけど、ぬるま湯に浸かってるよりは闘志燃えて良かったのかなって、いまになってはそう思えますね」

――自分の身の周りで起こったことや経験をもとに曲を書くのが基本だと思いますが、歌い手として〈3.11〉は避けて通れない出来事でしたよね。今作には“Still alive”という曲が収録されています。

「実は震災のとき、僕は制作でジャマイカに行ってたんです。だから大きな揺れとかパニックを体験したわけでないんですけど、ジャマイカで命を落としそうになって」

――えっ、何があったんですか?

「PV撮影の現場へ向おうと彷徨ってたら、綺麗な格好して夜ひとりやったもんで、いきなり二人組に襲われて。押さえつけられて袋たたきにあって、ネックレスも引きちぎられて服もビリビリなんすよ。で、ポケットのケータイと財布まで狙われたから、抵抗して逃げたら銃で打ってきて。幸い当たらなかったんですけど、もうほんま命からがらダッシュで逃げてきたんです。で、このことは曲にしようと思ってたら、その2日後に震災が起きて。そこでまた命の尊さを考えさせられましたね。普段生活しとったら明日も生きていられるって思うけど、そうではない。いま生きてるんやったら、もっと自分がやりたいことをやっておこうと強く思いましたね」

――〈3.11〉以降、何かマインドは変わりましたか?

「改めて意識するようになったのはメッセージ。TVつけてもホンマに大事なこと伝えなあかんのに、ズレてんちゃうかってことばっかじゃないですか。レゲエは思ってることがストレートに言えて、それを現場で直接届けられる音楽。だからメッセージが大事やと思うんです」

 

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掲載: 2011年07月20日 18:01

インタヴュー・文/馬渕信彦