インタビュー

@djtomoko n Ucca-Laugh 『1 MPD n a MIC』



エグくもあり、切実でもあり、ロマンティックでもあるベッドルームのガールズ・トークをそのまま音とリリックに落とし込んだ1MPD&1MCの女子2人が衝撃デビュー!



@DJtomokoNUcca-Laugh_A

メジャーの場で活動するヒップホップ~R&Bユニットでありながら、その手のグループにありがちな音やヴィジュアルとは一線を画したスタイルを提示するガールズ・ユニットが、@djtomoko n Ucca-Laughだ。@djtomokoはパッド付きコントローラーのMPDからフィジカルなビートを叩き出し、Ucca-Laughは歌とラップを自在に行き来するヴォーカルを聴かせる。個々に結構なキャリアを誇る2人が、このフレッシュなユニットを結成するに至ったのは、なんとも今日的でソーシャルなアイデアがきっかけだった。

「自分のデモを録音させてもらいにともちゃん(@djtomoko)の家に行った時、〈今日Ustreamやっちゃおうよ〉なんて遊び半分で配信してみたんですよ、すっぴんで(笑)。即興でビートを作ったりしたんですけど、それをいろんなDJやレーベルの方とかがおもしろがってくれたんです」(Ucca-Laugh、ヴォーカル)。

「MPDを使ったのは、やっぱりライヴ感が欲しかったからですね。最初に音を出して、後はリズムを取ってるだけじゃ嫌だった(笑)」(@djtomoko、MPD)。

NYのヒップホップ・フェスにも出演し、手応えを掴んだ2人は配信限定で2曲を発表。そして結成から約1年でデビュー・アルバム『1 MPD n a MIC』を完成させた。配信楽曲で強く打ち出していたヒップホップ的なループ感覚をベースにカラフルなポップセンスを織り込み、よりキャッチーで立体的なサウンドを作っている。

「最初の配信曲は切羽詰まった状況で出来たんですが、アルバムはもう少し余裕があったので作り込んでいったらこうなりました。ライヴでみんなが歌えるキャッチーなものにしたかったですし」(@djtomoko)。

カジュアルな言語センスによるリリックもまた、彼女たちの大きな魅力だろう。「ありきたりな歌詞は書かない」と語る2人が綴った言葉はユーモラスでありながら、ストレートに胸に迫る。特に、女子目線のメイクラヴ・ソング“ラヴ合ちん”はひときわ強い印象を残すナンバーだ。

「日本の女子がエッチなところをちゃんと歌ってる曲があまりないなあと。ガールズ・トークってエグいところも出てくるもんじゃないですか。うちらはSkypeでおしゃべりしながら制作しているので、〈いまの話、そのまま歌詞にしちゃいなよ〉みたいな感じなんです」(Ucca-Laugh)。

そんな“ラヴ合ちん”では〈between the sheets〉なんて歌詞も出てくるなど、セクシャルなR&Bの系譜に連なる楽曲であることをトラック面でも示している。奔放でキャッチーなサウンドを聴かせつつ、スタイルはコアなヒップホップ流儀。この振れ幅がさまざまなリスナー層をがっちり鷲掴みにするはずだ。


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掲載: 2011年11月29日 17:40

更新: 2011年11月29日 17:40

ソース: bounce 337号(2011年10月25日発行号)

インタビュー・文/澤田大輔