Negicco 2003〜2012(第2回)
[ interview ]
2003年の結成以来、新潟を拠点に活動を続けてきたローカル・アイドルの星、Negicco。度重なる危機に浮き沈みを経験しながらも、クォリティーの高い楽曲とパフォーマンス、三者三様なキャラクターの魅力によってジワジワと支持を広げ、タワレコのアイドル・レーベル=T-Palette入りしてからコンスタントに作品を重ねている3人が、これまでの歩みを集大成したベスト・アルバム『Negicco 2003~2012 -BEST-』をリリースします! ということで、彼女たちの活動を長年見守ってきたプロインタビュアー・吉田豪が、メンバーそれぞれのドリーム&ドラマをディープにインタヴュー! 7週連続の第2回目はMeguちゃんの後編をお送りします。初回を未チェックの方はまず前編を読んでからどうぞ。Megu(前編)はこちらから!
ラインダンスとかする?
――そして『ヌキ天』という番組は〈ラストヌキフェス〉というイヴェントで終焉を迎えたわけですけど、あれがホント切なかったんですよね。初代ヌキ天クイーンになったちゃーみー♡くいーん(*)が、あのときラストステージだったんですけど、「この衣装を着るの久しぶりだね」「似合わなくなっちゃったね」ってふたりで話してるのを控室で見て……。
*坂本恵美と野本愛弓のコンビ。2009年1月にTVアニメ「アキカン!」の主題歌でデビュー
Megu「あれが最後なんですか?」
――そうなんですよ。2代目ヌキ天クイーンのたれめのロリーズ(*)も「私たち、このまま活動を続けてもいいですか?」って客席に聞いて、「いいでーす!」「じゃあ、やります!」って言ってたのがラストステージになって。彼女たちもCDデビューするはずが、会社がガタガタになって無料配信のみになったから、なんとかCD化したくて、HMVという他社の話で申し訳ないですけど、ボク監修の『ライブアイドル入門』(**)というアルバムに収録したんです。 *りりあん、森崎まみ、森沢音の3人組。ROLLYプロデュースによる“恋のおねだり人形”(2009年)を発表 Megu「……それを聞くとグッときますね」 ――あのCDはボクにとって『ヌキ天』の供養がテーマなんですよ。だからNegiccoも入れなきゃいけなかったし、ちゃーみー♡くいーんがいて、たれめのロリーズがいなきゃいけなかった。 Megu「確かにあのCDを見ると、『ヌキ天』でいっしょになった名前がいろいろありますよね」 ――ミ★POPの“スパイスィ→カレー”って曲を入れたのも、あれは原曲を歌ってたリトル☆レンズっていうグループが、『ヌキ天』で勝ち抜けなかったら解散って自分たちを追い込んで、勝てずに解散しちゃったんですけど、いまも違うグループが歌い継いでるんですよ。リトル☆レンズはPerfumeが当時、仲よかった人として名前を挙げてるグループで。Perfumeが東京ドームでライヴやったとき、“スパイスィ→カレー”を歌ったっていうのもまた泣ける話で。 Megu「あのアルバム、ホントいろんな思いが詰まってるんですね……。ありがとうございます。豪さんのあのアルバムに入れていただけてから、また“圧倒的なスタイル”の評価がグンと上がって」 ――嶺脇社長は〈ベスト盤を出すから、そこの売りにしたかった〉って言ってましたけど、〈Negiccoってこんなにいいんだ!〉って広まるきっかけにはなったはずなので。 Megu「はい、ありがとうございます。タワーさんでも“圧倒的なスタイル”が入ったアルバム(*)を出しますので(笑)」 ――タワーのアイドル・レーベルに所属しているグループがHMVのコンピに入るっていうのも本来ならありえない話ですよね。 Megu「豪さんと嶺脇さんの信頼関係があったから、あれは実現できたと思ってて」 ――ボクがNegiccoを入れたがってたけど、HMV側はオファーしてなかったんですよね。〈いろいろと仁義を通したりしなきゃいけないので〉ってことだったからボクが即、嶺脇社長にメールして。そしたら〈仁義を通すも何もないですよ。僕にとっては彼女たちのことが広まっていくことが重要なんで、ぜひ収録してあげて下さい〉っていう非常に泣けるメールが来て。 Megu「泣けますね、そんないい話」 ――話を当時の出来事に戻しますけど、『ヌキ天』で勝ち抜いて1年放置されてる間の不安感もかなりのもんだったと思うんですよ。そして番組もなくなって、バックアップもしてくれない。CDもひっそりとリリースされた感じで、あのまま勝ち抜いた勢いでボーンとデビューしてたならともかく、時期を逃した感があって。 Megu「ああ、そうです。ちょっと波に乗りきれなかったところがありますよね。しかも、最初に曲が届いたときに、いままで歌ってたNegiccoの曲とちょっとズレてたので、正直な話、私は歌いたくなかったんです」
――作曲がconnieさんじゃないっていう。 Megu「それもあったし、やっぱり“My Beautiful Life”とかをやって、Perfumeのファンの方とかもついてきてくれたのに、急に昔歌ってた可愛らしい曲みたいになっちゃったから、正直すごい嫌だったんです。でも、Nao☆ちゃんが、〈この曲をNegiccoらしく歌い上げればいいんだよ〉〈Negiccoらしく、Negiccoの歌にしちゃえばいいじゃん〉って言ってくれたことにグッときて、それでがんばろうって思えました」 ――Negiccoはライヴでどんどん曲を完成させていくと思うんですよね。 Megu「あ、それよく言われるんですよ。最初、CDを聴いて〈ん?〉と思った方も、ライブに行くと〈全然いいじゃん!〉みたいな」 ――ライヴ・ヴァージョンで聴きたくなるんですよね。ボクの個人的な希望では、“完全攻略”のコール入りヴァージョンが音源で欲しいっていう。 Megu「そうですよね、あれもライヴで完成する曲なので」 ――スタジオ音源で聴くと、前奏がおとなしいと思っちゃうんですよ。 Megu「そうなんですよね。最初の〈N、E、G、I、CCO〉ってところあるじゃないですか、あれも私とかがふざけてやってたら、そのまま採り入れられちゃった、みたいな。Negiccoって練習中にふざけてやったようなことが、そのままいいねって採用されることが多いんですよ。“圧倒的なスタイル”のラインダンスも、間奏が長いから〈何やる?〉みたいな話になったときに、ふざけて〈ラインダンスとかする?〉みたいな感じになって、そのままファンの方もいっしょに楽しめるようなラインダンスになったりとか」 ――あの強制ラインダンスはおもしろいですよね。客席をこまかくチェックして、無理矢理やらせるシステムが(笑)。 Megu「でもホント、ファンの人と一体になって楽しみたいっていう気持ちがすごくあるので、あのラインダンスとかやってよかったなって思います」 ――あれはNegiccoを象徴するパフォーマンスだと思いますよ。 Megu「まさかあれが代表曲になるとは思わなかったです」 ――代表曲だし、観客といっしょにみんなでラインダンスやってるときの、あのわけのわからない団結感というか多幸感は異常ですよ! Megu「ありがとうございます。“圧倒的なスタイル”ができたときに、ワンマンライヴで披露して、そこからしばらく歌わなかったんですよ。ゆっくりな曲だし、ダンスもラインダンスだけじゃなく最初は跳び箱とかもあったんですよ。人が台になって、誰かメンバーが跳んで、みたいな感じだったんで、ふざけてると思われるんじゃないかって。それで一回、お蔵入りっぽくなってやらなくなったんですけど、ファンの人が〈“圧倒的なスタイル”歌わないの?〉って言ってくれたのがきっかけで、ちょっと遅かったBPMも速くしてもらったりとかして、それでノリやすい、サーカスみたいな感じの曲に仕上がっていったんですよ」
**小桃音まい、hy4_4yhらの楽曲を満載した良質なコンピ。ローソン&HMV限定リリース
*『Negicco 2003~2012 -BEST-』に収録!