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インタビュー

INTERVIEW(3)――人は染まらないと生きていけない



人は染まらないと生きていけない



LUNKHEAD_LIVE1



――今回、タイトルもそうですけど、歌詞に色のイメージがたくさん出てきますよね。青、藍、白とか。これは最初から意図してたんですか。

あ「いや、気付いたのは終盤ですね。タイトルをいつまでに決めなきゃという締め切りがあって、歌詞を見ている時にやっぱり〈青〉というキーワードがあったので。〈この曲も青い、この曲も青い〉って、そこから逆に、まだ歌詞が煮詰まっていない曲には、あえて〈青〉という言葉を入れたりして。やっぱり青臭いことを歌いたいモードになってたんだなオレはって、あとで気付きました」

――ちなみに〈白〉は、どういうイメージで使ってます?

「白は、赤ちゃんのイメージかな。まだ染まっていないもの。人間って、染まることで成長していくんだと思うんですよ。汚れていくことと言い替えてもいいけど、知るということは汚れるということだと思うんですよ、いろいろと」

――ああ……そういう一面もある気はします。

「染まっていかないと生きていけないんだと思うんですよ。汚いことに染まることで、それが汚いってわかるわけじゃないですか。手に触れるものもそうだし、精神的なこともそうだし。白いまんまじゃ生きていけないんですよね。ズルいことを覚えるからズルくされると気付くし、騙されないようになるとかね。そういう意味の〈白〉です。だから白が必ずしも正解ではないんじゃないかと思うんですよ。白いまんま大人になったら、その人は絶対、周りにめちゃくちゃ迷惑をかけますよ。実際にいるけど、そういう人(笑)」

――いますね。特に音楽業界のなかにはちらほらと(笑)。

「めちゃくちゃ迷惑な人じゃないですか(笑)。だからこの世界で人と生きていくためには、染まらないと生きていけないんだなって、そういう意味では『[vivo]』とあまり遠くないことを歌ってるんだろうなとは自分でも思うんですけど。そういう意味の〈青〉と〈白〉ですね」

――そういう意味でいうと、曲調や歌詞のヴァリエーションはすごく広いけど、伝えたいテーマはわかりやすいです。

「うん。わかりやすいと思う」



これまでやってきたことと、新しさ



LUNKHEAD_LIVE2



――ラスト2曲もすごく良いですよね。“未来は今ここに”“明日”という、タイトルも内容も希望に向けて終わっているので。

あ「希望で終わってるのはいいですね。“明日”みたいな曲でアルバムを締め括ったのは初めてで、大概いつもまったりした曲が最後にきちゃうんで、そういう意味でも非常にいいアルバムが出来たなぁと思います」

――音楽的にも、これで新たなバンドの基盤ができたのかなという気がします。

「うん、そうですね。しかも〈みんないい大人だから、LUNKHEADというバンドをホームにしていろんなことがやれたらいいね〉ってずっと話してたんですけど、それができるようになってきたんですよ。(山下)壮がHermann H.& The Pacemakersの再結成ライヴでギターを弾いたり、(ドラムスの)桜井(雄一)さんもいろんなところでやってるし、各々の音楽人としての活動をいろいろやりながら、ホームとしてのLUNKHEADをこれからも続けていけたらいいなと思ってるんですよね。そういう揺るがないものができてきたなと思うので」

――小高くんも弾き語りライヴとか、やっているし。

「今年はそういうこともやってみようかなと思います。〈LUNKHEADという塊がちゃんと真ん中にあるな〉と思うから、逆に一人でもやりたいんですよ。(合田)悟のベースじゃないバンドでやってみたい(笑)」

――(笑)ベース、今回も相変わらずすごいです。

「ベースで〈フレットが足りない〉なんて、おかしいじゃないですか(笑)。曲の半分以上、俺のギターより高いところを弾いてるんですから。でも今回から五弦ベースを使い出して、かなり変わったんですよ。いままでのアイツは大体カンで、アドリブでやっていたんですけど、五弦では頭で考えて作り込むようになったらしいんですよね。だから五弦を使っている曲のベースラインはすごく綺麗で、これから全部五弦でやってほしいと思うんですけど(笑)。今回のベースはいままで以上に弾きまくってるけど、抑えるところは抑えるようになってきてる」

――ああ、そう言われてみれば。つい歌詞の話ばかりしてしまったけど、今回はサウンド的にもLUNKHEADでしか鳴らせない音が鳴ってると思います。悟くんのベースも、壮くんのギターも。

「壮もすごいですよ。“無限光”の最後のギター・ソロというか、〈グワー!〉っていうところとか、本当にすごい。“泡沫”のギター・リフとかも、ものすごくカッコ良いし」

――そういう意味で今作は集大成でもあり、新たなスタートでもあり。

「そうですね。いままでやってきたことが全部入ってるし、なおかつ新しさもあるし。また次が楽しみですね」

――今年はライヴをたくさんやる予定ですか。

「わかんないですね。とりあえず4月のツアーまでは全力でやり切るという感じです。今回のツアーはわりとコンパクトなので、数打つよりは、一本一本を大事にしていきたいなという感じですかね。そのあとは……呼ばれたいな、フェスとかに。改めて知らしめたいですね。いまのLUNKHEADを観てほしいです」


カテゴリ : .com FLASH!

掲載: 2012年02月08日 18:03

更新: 2012年02月08日 18:03

インタヴュー・文/宮本英夫