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インタビュー

遊助 『あの・・涙があるから愛があるんですケド。』



〈感謝〉と〈夢〉に続くテーマは……? さまざまな角度からの〈愛〉を表現した、栄養ドリンクも常備する救急箱のようなアルバムが完成!



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自身の心からの想いを歌詞にし、感情を込めて歌う遊助。このたびリリースされるサード・アルバム『あの・・涙があるから愛があるんですケド。』は、この1年の間の出来事から生まれた気持ちを、音楽に昇華した楽曲が並ぶアルバムだ。

「最初のアルバムが〈感謝〉、次のアルバムが〈夢〉と、それぞれテーマを持って作ってきたんですけど、2011年は〈愛〉をテーマにスタートしたんです。そこで震災が起きて。当日はたまたま僕のデビュー日で、ツアーの初日を武道館でやるはずだったんです。そこからは、いろんな出会いがあると同時に、たくさんの困難が起きたり、上地雄輔としてもいろいろあって、〈ホント、こんなことってあるの?〉みたいな年だったんです。そういうときにファンの方や周りのスタッフとか、支えてくれる人の大事さも感じたし、逆に自分らしさというものを考えさせられましたね。2011年が終わったときに〈乗り越えられたな〉って感覚があって、今年に入って歌いたいことがどんどん出てきたんです」。

仕事でも日々の生活でも難しい壁にぶつかりつつ、それでもしっかりと前に進んで来た遊助。今回の楽曲には、これまで遊助として見せてこなかった部分をすべてさらけ出しているようなものも多い。

「いままで自分のプライヴェートなことは、音楽ではあまり出さないようにしてたんです。でも、もうそろそろ出してもいいかなって。自分の身を削っていこうって、いままで溜めてたものをドンと出したんです。〈愛〉って広いテーマだけど、1曲1曲違う角度からの〈愛〉が一つにまとまったものがこのアルバムなんです」。

震災の後に「自分に言えることは何かを考え、逆に何を言われようと覚悟を決めて、ちゃんと愛情を届けよう」と作ったという、ダンスホールのビートに乗せて〈明るく笑っていこう〉と歌う“一笑懸命”。涙もあるけど懸命に生きていく想いを爽快なサウンドで届ける“空飛ぶ電車”。彼の音楽体験の原点であるレゲエ・ナンバーで〈情けない男だけど、深い愛情を持ってる〉ことを伝える“Baby Baby”。仲間の餓鬼レンジャーを〈遊 turing〉したパーティー・チューン“今夜は無礼講”など、ヴァラエティーに富んだ楽曲が並ぶ。

また、必死にもがいていた過去の自分の気持ちを赤裸々に綴った“History”や、アコースティック・ギターのループの上で〈夢に向かってきたこと〉を語る“I'll try my best”など、これまで以上に言葉が強くなった楽曲もある。そして締め括りの“かすみ草”には、「大きなお世話かもしれないけど、僕は誰かのためになりたいんです。偽善者と言われるかもしれないけど、〈僕はここにいる〉ってずっと言い続ける。弱ってるときに〈アイツこんなこと言ってたな〉って上を向けるきっかけになるものになれば」という彼の真摯な想いが込められている。

この新作からは、素の遊助が個々のリスナーに向かって、さらに一歩近付いて訴えかけるような愛情と熱さが感じ取れる。

「栄養ドリンクも入ってる救急箱みたいなアルバムですね(笑)。スタミナドリンクも、ケガしたときの絆創膏も、カゼ薬も入ってます。生きてくなかでの喜怒哀楽っていろいろあるけど、勝負するとき、失恋したとき、弱って頼りたいとき、楽しいとき、そのときどきの状況で必ず引っ掛かる曲があると思うんです。それは絶対に自信があるので、ぜひ聴いてみてください」。



▼『あの・・涙があるから愛があるんですケド。』に〈遊 turing〉されたアーティストの作品を紹介。

左から、餓鬼レンジャーの2005年作『GO 4 BROKE』(ビクター)、柴田知美の2010年のミニ・アルバム『I am...』(EXIT LINE)

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2012年04月04日 00:00

更新: 2012年04月04日 00:00

ソース: bounce 342号(2012年3月25日発行)

インタヴュー・文/土屋恵介

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