こんにちは、ゲスト

ショッピングカート

インタビュー

橋本江莉果 “Flowers”



ワイルド&クールな前作から一転、フェミニンな印象のニュー・シングル。そこには、もっと多彩な表情を浮かべた彼女がいて……



橋本江莉果_A



スパイスの効いた音と、甘いんだけどザラッとしている独特の歌声で、デビュー時からただ者ではないオーラを漂わせていた橋本江莉果。彼女が待望のセカンド・シングル“Flowers”を完成させた。前作“I Know”はモノトーンのCDジャケットでワイルド&クールなイメージを打ち出していたが、今回は真っ赤なサマードレスとゆるふわヘアでフェミニンな一面をアピール。楽曲も清涼感溢れる開放的な4つ打ちチューンに仕上がっている。

「最初に聴いたときは、〈夏にぴったりじゃん、ドライブしながら聴きたいよね〉みたいな。海だったり、自然の風景だったり、壮大なイメージが浮かぶんだけど、でも、ちょっと切なかったりするトラックだなって思いました」。

作詞は彼女本人が担当。女友達と毎晩のように遊んでいた時期に書いたという歌詞は、女の子同士の友情がテーマになっている。〈あなたの良いところは100個くらい言える〉と密度の濃い関係を表現しつつ、この楽しい時間がずっと続くことはないのかも、と一抹の不安を覗かせるところにリアリティーが感じられ、好感が持てる。

「みんな好きな人や彼氏がいない時期だったから、惚れたハレたみたいな話も出てくるし、逆に私がヘコんだりとか、アップダウンが激しい時期で。だからこそ、友達との時間が最高に大切な時間だったし、ヘコんでる友達にこういう言葉を歌ってあげたいなと思って書いた曲なんです。ただ、これまでいろんな子と友達になってきたけど、やっぱり出会いと別れがあるわけで。この友情が大事だからこそ、相手が好きすぎるからこそ、この関係がいつか消えちゃうんじゃないかな?っていう不安もみんな抱えてると思うんです」。

彼女の才能を発掘し、全曲のプロデュースを担当するのは、AIの代表曲“Story”や“E.O.”、そして福原美穂の“CHANGE”などを手掛けてきた2SOULのKEN。ゴリッとした質感のビートを得意とする彼だが、2曲目“BEAT IT”は、2人がタッグを組んで間もない頃に彼女が求めていた曲調をKENがドンピシャで作ってきたというロッキッシュなダンス・ナンバーで、〈人を外見や噂で判断しないで〉とか〈オンナをナメんなよ〉というメッセージを忍ばせた、彼女の勝ち気なキャラが出た恋の駆け引きソングになっている。

また3曲目の“Rain Drop”は、KENのもうひとつの持ち味であるオーセテンィックなソウル・ミュージック志向が出た、彼女にとって初のスロウ・バラード。歌詞に目を向けると、“Rain Drop”にも、“Flowers”にも、デビュー曲の“I Know”にも、〈雨〉という言葉が出てくるのが特徴的だ。

「私のなかで、空が歌のモチーフになることが多いんですよ。雨に限らず、雲だったり、虹だったり、太陽だったり、自分の気持ちを空模様に例えることが多い。で、雨からはわりとネガティヴだったり、マイナスなことをイメージしがちだと思うんですけど、私は〈雨降って地固まる〉とか、雨の後には虹が出るとか、そっちのイメージがあって。そういう言葉を使って、私は逆にポジティヴなメッセージを伝えていきたいと思うんですよね」。



▼橋本江莉果の2011年のシングル“I Know”(ソニー)

▼KEN from 2SOUL関連の作品を一部紹介。

左から、AIの2005年作『MIC-A-HOLIC A.I.』(ユニバーサル)、福原美穂の2009年作『RAINBOW』(ソニー)、HanaHの2010年作『i'm not alone』(ユニバーサル)

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2012年05月02日 00:00

更新: 2012年05月02日 00:00

ソース: bounce 343号(2012年4月25日発行

インタヴュー・文/猪又 孝