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インタビュー

福原美穂 “Dream On”



コラボという形でチャレンジを重ねてきた彼女が、次に組むのは初の男性シンガー! さらに、新作のようなベスト盤も続いて登場します!



福原美穂_A

2010年末に発表したミニ・アルバム『Regrets Of Love』では、〈ワールド・スタンダード〉を目標に海外クリエイターとの共作に挑戦。その後リリースした2枚の〈The Soul Extreme EP〉シリーズでは、〈自分にあるソウル・ミュージックの進化と深化〉もテーマに加え、ソウルマナー溢れる日本人シンガーとコラボを重ねてきた福原美穂。そのEP第1弾ではAIを迎えた“O2”、第2弾では和田アキ子を迎えた“Get Up!”が大きな話題を集めたが、今回それに続くコラボ第3弾がシングルとして到着した。今度の相手は、昨年11月に発表したアルバム『D.M.』がブレイクし、注目度もうなぎ登りの三浦大知。2人が魂を交差させて作った“Dream On”は、開放的で力強いエレクトロニックのトラックに温かみのあるヴォーカルが乗った、スピリチュアルな雰囲気すら漂うナンバーだ。

「“O2”“Get Up!”ときたからパンチのあるものにしたかったし、男女のコラボでミディアム・バラードは最近あまりないなと思って。でも大知くんにはダンスのイメージが強かったので、ビートもあるものを意識して作ったんです」。

歌詞は、福原が亡き音楽仲間の男性に伝えたい気持ちを元に作詞。彼には〈巧い歌手とかカッコイイ歌手はいっぱいいるけど、美穂には人を笑顔にさせる歌を歌ってほしい〉と言われていたそうだ。そこに、自分たち表現者が夢を追い続ける心境を結び合わせて書いたと言う。

「私と同世代の人って感情をあまり表に出さないような気がするんです。ドライなのか、自分の世界で完結しちゃいがち。でも、自分のいろんな感情を隠したり、流したりすることはやめてほしいなって思うんです。夢を持つこともそうだし、それを人に伝えることもそうだし」。

また、本シングルに続き、『Regrets Of Love』から始まる諸作からの楽曲も収録した『The Best of Soul Extreme』が到着。〈Best〉と付いてはいるが、実際は新録曲が多くを占めているので、〈ニュー・アルバム〉という位置付けだ。いくつかのコラボ曲をはじめ、少女時代“Run Devil Run”を手掛けたバスビー製のオルタナ・ソウル“Black Star”や、自然と気持ちが昂揚していくチャーミングなR&B“Cinnamon Dream”など注目曲が目白押しとなっている。なかでも、AIと2度目の共演となる“You Are My Reason”は雄壮なバラードで、2人の超絶的なヴォーカルの掛け合いが聴きもの。同曲のライナーノーツによれば、“O2”のレコーディング時の両者は〈ライオンと熊〉みたいな感じだったそうだが、今回は「発情期の雌ライオンの闘いだった(笑)」と振り返る。

「AIさんの歌唱力があったから作れた曲。ここまで掛け合える人はAIさんくらいしかいないかも。歌詞は私が震災以降感じてること、大切な人に届けたい言葉を書きました。キャロル・キングの“You've Got A Friend”みたいなイメージかな。聴いてくれた方が大切な人を思い浮かべてくれるような曲になったらいいなって思ってます」。

また、Charaのスタジオを訪れ、子供が楽器を鳴らして遊ぶような感じで共作したという“Kiss! Kiss! Kiss!”は、ハートウォーミングなフォーキー・ソウル。2人の楽しげなセッションの様子が伝わってくる愛らしいナンバーだ。さらにレオナ・ルイスとの共演が実現した“Save Me”は、キーシャ・コールやT・ペインなどに楽曲提供するサウンドキラーズによるもので、実はビヨンセも欲しがっていたのだとか。2人の伸びやかな美声に引き込まれるスケールの大きいバラードに仕上がっており、レオナのヴォーカル・ディレクションは福原が務めている。

「“Bleeding Love”の時のようなレオナのヴォーカルを引き出したかったんです。だから、節回しをいろいろ入れて歌われるんですけど、トゥーマッチにならないようにって。メロディーがすごく素敵なので、歌をこねるというよりは、(歌詞の)言葉をリリースしていくほうがこの曲には合ってると思ったんです」。

大好きなソウル・ミュージックに触れている時は、日常をちょっと忘れられるという福原。そんなふうに、このアルバムも聴く人をちょっと別世界に連れて行けるような作品になっていたら嬉しいと語る。

「私のなかで、このアルバムに入ってる曲は出会うべくして出会った曲たち。どの曲もレコーディングでワクワクしてたし、出来上がった時は〈よし!〉みたいな感覚があった。その喜びや興奮を早く聴いてもらいたいなと思ってます」。

8月29日からは全国5大都市を回るツアーがスタート。彼女が精魂込めて作った情熱溢れる音楽は、間もなく生体験できる。

「今回は打ち込みのトラックで表現する部分と、弾き語りとかで表現するような部分、両方を観てもらいたいなって考えてます。ツアーは約2年ぶりだし、ライヴは自分を表現できる場所なので、いまから本当に楽しみです!」。



▼6月13日にリリースされる福原美穂のニュー・アルバム『The Best of Soul Extreme』(ソニー)

▼福原美穂の作品を紹介。

左から、2010年のミニ・アルバム『Regrets Of Love』、2011年のEP『The Soul Extreme EP』、同『The Soul Extreme EP II』(すべてソニー)

▼関連盤を紹介。

左から、三浦大知のニュー・シングル“Two Hearts”(SONIC GROOVE)、AIの2012年作『INDEPENDENT』(EMI Music Japan)、6月6日にリリースされるCharaのニュー・シングル“オルタナ・ガールフレンド”(キューン)、レオナ・ルイスの2009年作『Echo』(Syco/Sony UK)

カテゴリ : インタビューファイル

ソース: bounce 344号(2012年5月25日発行)

インタヴュー・文/猪又 孝