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インタビュー

オープンリールアンサンブル


21世紀に生まれた変種楽器

「複数の人間がオープンリールのデッキを操る」という和田の構想をこの5人で実現するに至ったのが2009年頃。オープンリールを変種の民族楽器として捉えて、ガムランのアンサンブルのようなことができるんじゃないかと考えていたとも言う和田がメンバーとともに様々な角度からこの「楽器」への空想をふくらませていった結果、オープンリールアンサンブルとしてのコンセプトは固まった。結成からまもなくして行った、ICCやアルスエレクトロニカ、ソナーでのパフォーマンスが話題を呼んだが、「視覚ありきのプロジェクトになるだろうなと当初は思っていたけど、音だけで語れるものも追求していかなきゃいけないだろうとも次第に考え始めていた(吉田匡)」と言う通り、このCDの制作が始まる以前から、彼らのアイデアを楽曲に落とし込む方法についての試行錯誤は続いていた。

「リールを通すことで可能になる演奏を集約したものにしたいというコンセプトはまずありましたね」(吉田悠)

「視覚がなくなったときに、オープンリールだってわからなかったら意味が無いですよね。リールでやる意味があることを音にどう込めていくかが僕たちの共通認識で、そこからスタートしたんです。リールの音っていうのはどういう音なのか、模索しながら曲を仕上げていきました」(難波)

「CDとパフォーマンスではリールの使い方や考え方も違ってくるんです。このアルバムを作っている時もどうやってリールの利点を出せば良いのか、ものすごく試行錯誤しました。今も模索中なんですけど」(佐藤)

そうして出来たこのアルバムだが、試行錯誤の形跡以上に、初期衝動が爆発したようなポップさが詰まっている。同時に、幅広い音楽的嗜好を持つ彼らの音楽性も垣間見ることができる。

「やっぱりロックが土台にあるなとは思うんです。ポップだけど、ノイズもやったりとかね。僕らの中には実験的な部分とポップな部分の両方があるから」(和田)

しかし、オープンリールを使ったバンドになることが彼らの最終形態ではないようだ。

「アウトプットの方法は色々あると思っているんです。今回は音に主眼を置いたけど、もっと大きなアウトプットができる集団なんです」(和田)

LIVE INFORMATION
7/14(土)ザ・ガーデンホール(恵比寿)
7/21(土)PINE BROOKLYN(大阪)
7/22(日)APOLLO THEATER(名古屋)
http://www.steamblue.net/


カテゴリ : インタヴュー

掲載: 2012年06月29日 20:08

ソース: intoxicate vol.98(2012年6月20日発行号)

取材・文 intoxicate編集部