INTERVIEW(4)——何よりもいい曲を書きたい
何よりもいい曲を書きたい
スガノユウ(ギター)
――そうやってサウンドやスタイルはどんどん変わっていくぶん、ここだけは譲れないっていう部分を挙げるとすれば?
「ポップであることは絶対に譲れないと思います。曲単位で見たらポップじゃない曲もやりたいですけど、バンド単位で見たときにはあくまでポップ・バンドでありたいと思います」
――海外のインディーが好きな人だけじゃなくて、より多くの人に自分たちの音楽を届けたいっていうことだよね?
「そうですね。僕らが影響を受けた洋楽とかを聴かない人でも、聴いたときに何かを感じてもらえて、広い世界の入り口になれればって思います」
――それこそポール・マッカートニーはロンドン・オリンピックの開会式で歌ってたわけだし、あれこそポップの普遍性の力だよね。
「だいぶデカイ話ですね(笑)。あ、でも“Oslo”がパナソニックのロンドン・オリンピック公式サイトで使われてて、その話を聴いたときはすごく嬉しかったですね。何が嬉しかったかって、“Oslo”みたいなサウンドの曲が使われるっていうのが嬉しくて。日本のロック・バンドの曲でそういったところに使われるものってアッパーなものが多いじゃないですか。そんななかで“Oslo”みたいな曲を拾ってもらえたのがすごく嬉しくて、間違ってなかったなって思いました」
――あと、今回はミックスからマスタリングまで全部自分たちでやってるんだよね?
「さっきも言ったOUTATBEROのアルバムが自分たちでやってるって聞いたのがきっかけだったんです。デザインも自分たちでやってるんですけど、やれるうちは自分たちでやりたいっていうのはあります。幸いDAWAさん(FLAKE RECORDS店長)も期待してくださっているし、そういうことができる環境があるので、だったらやろうと。そこはホントに助けられてますね」
――今年の春にUS/UKツアーがありましたが、その手応えはどうでしたか?
「向こうの音楽好きに触れられたのはよかったですね。ライヴが終わって片付けをしてるとステージに上ってきて、〈お前のだ〉ってビールを持ってきてくれたりとか、そういう温かさを感じました。自分たち以外のライヴをいっぱい観れたのも良かったし」
――観たなかでは何が良かった?
「ルーツがダントツで良かったです」
――あ、やっぱりNOKIES!のヒップホップ化が進んでる(笑)。
「クラウド・ナッシングスもよかったですよ(笑)」
――USとUKの違いに関してはどうでしたか?
「一般的に言われてることだと思うんですけど、アメリカは最初からウェルカムな感じで、イギリスはジワジワ盛り上がるっていう感じでしたね」
――海外でももっと活動したいっていう気持ちがありますか?
「いまはあまり考えてないんです。まずは日本の人たちに聴いてもらいたいっていうのが第一ですね」
――さっきも言ってたように、他のバンドとは違うものを提示したいっていう気持ちが強い?
「そういう気持ちもありつつ、何よりもいい曲を書きたいです。いい曲を書きさえすれば、日本も海外も関係ないと思うんで、とにかくいい曲を書いて、それを伝えていきたいですね」
――Turntable Films、Czecho No Republic、THE CiGAVETTESとか、いまの海外のインディー・シーンとシンクロしていて、ソングライティングの面でも優れたバンドが盛り上がってきてる印象があるんだけど、彼らにはシンパシーを感じますか?
「そうですね。でもまあ、先輩なんで……」
――そっか、シンパシーとはちょっと言いにくいか(笑)。
「でもすごくおもしろいなって思うし、逆に〈いっしょのことはやらねえぞ〉っていうライヴァル意識もあります。この一年はいろんな人と出会えて、ホントに目から鱗でしたね」
――the telephonesやTHE BAWDIESが企画している〈Kings〉っていうライヴ・イヴェントがあるでしょ? あれは2000年代のいわゆるロックンロール・リヴァイヴァル・ブームとのリンクがあって、ひとつの成果を残したイヴェントだと思うんだけど、NOKIES!やさっき名前を挙げたバンドたちっていうのは、その次の、2010年代の流れを作っていくバンドたちなのかなって思うんですよね。
「僕はこのバンドをやるまで日本のことは全然知らなかったので、なかなか答えるのが難しいんですけど、僕がこういう音楽をやろうって決めたことと、近い世代で洋楽に影響を受けたバンドが増えてるっていうのは、どこかで繋がってるのかなっていうふうには思いますね」
――今後の活動に関しては、どんな展望を持っていますか?
「とにかくもっとライヴをやって、まずはこのアルバムを聴いてもらいたい。ホントにそれだけですね。ファースト・フル・アルバムなので、まずはこれで自己紹介というか、名前を知ってもらいたいと思ってます」