STARDUST REVUE 1981-2012(Part.2)
[ interview ]
STARDUST REVUEのヴォーカル&ギター、根本要のロング・インタヴュー第2回。今回は、10年選手となった90年代の活動をメインにトークが進行。90年代の彼らといえば、“木蘭の涙”といったバラードの名品で注目を浴びつつコンスタントにアルバムのリリースを重ねていた。そんななか、ソングライティングも担当していた三谷泰弘(キーボード/ヴォーカル)がソロ活動のために脱退。そんな予期せぬ出来事が起きた時の、根本の心中がどのような状態だったのかも赤裸々に語られている。
同時にこの頃は、以前よりもいっそうツアーに心血を注いで熱烈なファンを増やしていった時期であり、そういう意味でもバンドのキャリアにおけるポイントとなっているだろう。ライヴに賭ける熱い思い、自身のバンド哲学についてじっくり読んでほしい。
・STARDUST REVUE 1981-2012(Part.1)はこちらから!
メンバー・チェンジ=解散?
――数々のタイアップ・ソングなどを手掛けながら、80年代から90年代へと入っていくわけですが。
「僕らにとって90年代はライヴの時代でしたね。日本武道館公演を3日間やったり、全60公演ぐらいの全国ツアーをほぼソールド・アウトさせて回ってました。でも武道館3デイズを実現させた喜びよりも、シングルが売れないって申し訳なさのほうが強くあったんです」
――でも各地でお客さんが熱狂する姿を目の当たりにしていた、と。
「確かにヒット曲はなかったけど、僕らのファンは全国にいてくれるんだって自信も生まれましたね。そんななか94年に僕らはひとつの転機を迎えるんです。キーボードの三谷泰弘がバンドを脱退することになって」
――要さんはどういう心境でしたか?
「正直言って解散かなって思いました。何度も言うけど、僕はSTARDUST REVUEというバンドに何の不満もなかったわけです。だからなんで彼が辞めるのかわからない。こんなおもしろいバンドなのになぜ?って。アルバム『楽団』のレコーディングがほぼ終わりに近付いた頃、スタジオで〈話があるんだ〉って言われて。彼が辞めるって話を切り出した時、僕は正直信じてなかった。疲れが溜まってるんだろう、明日・明後日には変わってるんじゃないの?って思ってたけど全然変わる様子がない。えっ、本気? 僕らはアマチュアの頃からいっしょにやってきて、メンバーが変わる時はバンドが解散する時だってよく話してたからね。だから、その後何度も話し合いました」
――皆さん、バンドは運命共同体なんだって意識がすごく強かったわけですね。
「そう、〈メンバー・チェンジ=解散〉とね。で、とにかくちゃんと納得するまでメンバー、スタッフで話し合って、結局バンドは続けようってことになりました。リーダーが不甲斐ないからこんなことになっちゃったんです。もともとはアマチュア時代から僕がイニシアティヴを取ってました。で、デビューする2年ぐらい前に三谷が加入して、僕は彼の才能にすごく感化されて、それを活かしたほうがいいと思ってたんです。その後も彼はいろんなことを熱心に研究していたから、どんどん成長する、当然僕も飛び越えてく。でも僕は、何クソ!とならないタイプで(笑)。それすごくいいじゃん!って言いながら、彼の考えを採り込むようにしてきた。でもきっと彼は、もともとソロ志向でもあったから裏方でいる不満もあったと思うんだよね。だって、音楽ってどうしても歌を中心に聴いちゃうでしょ。僕らのようにバンドをやっている人間なら、アレンジやら楽器のテクニックとかにも耳がいくけど、たいていは歌が評価の対象になってしまう。ギター・バンドならヴォーカリストとギタリストが双璧ってこともあるだろうけど、ほとんどのバンド(のメンバー)は〈その他大勢〉になってしまう。バンドをやる限りはヴォーカルが前に出るのは仕方ない。そのほうが聴く側もわかりやすいし、スタッフもそれを望んでる。それでも僕は〈バンドは絶対平等だ〉って考えだから、僕が工夫すれば何とかなると思ってた。メンバーそれぞれがキャラを活かせるようにしたり、あるいはライヴのメンバー紹介に時間をかけたり。メインになるヤツは、絶対バンドに気を遣わなきゃいけないんだ。それに僕はもともとギタリストになりたかったから、自分がメインになってしまった居心地の悪さもあった。とにかくキーボードの三谷の才能を買っていたんで、やりたいようにやろうよ、俺もそこに合わせていくから……って思いでいたんだけど、最終的には彼のソロ志向のほうが勝っちゃったんだと思うな」
――それが結論だったのですか……。
「そうだね。そんなことがあったんで、彼が辞めた後は僕がイニシアティヴを取るようにした。じゃないとまた同じことが起きると思ったから。当時はプロデューサーって名前こそ使ってないけど、この先は全部自分でやっていこうと。周りのスタッフからも、お前が引っ張っていけ、って言われたし。そこから大きく変わりましたね」
――なるほど。
「さっきも言ったように、ライヴに来てくれるお客さんのほとんどは〈歌〉を聴きに来ているわけですよ。だから僕はステージ上では常に、自分をアピールするのは二の次だと思うようにしている。歌うだけで、どうせ目立つんですから。そうこうしてるうちにお客さんの聴き方も変わってくるんです。スタレビのお客さんがカッコイイなと思うのは、特にバラードとかアウトロがちゃんと終わってから拍手してくれる。最後まで気を抜かないで聴いてくれてるところ。1番と2番の間で拍手するような人なんてひとりもいない。僕らがいつもそう話しているから、お客さんも美味しいところを観逃すまい!と間奏だってちゃんと聴いてくれる。スタレビのお客さんでメンバーの名前を知らない人はほとんどいないと思うんだ。何でかって言うと、ライヴのたびにしつこいほどキャラまで紹介しているから。そして、それぞれのソロだったりとか得意な部分を盛り込んでいくと、ちゃんと意識にバンドとして刷り込まれていく。あのね、〈バンドは運命共同体〉っていちばん思わなきゃいけないのは、リーダーとかヴォーカリストとか、必要以上に目立つ人間なんだ。そうじゃないとバンドって結局ヴォーカリストだけのもの、あるいは曲作りをする人だけのものになっちゃう。これは金銭的なことも含めてね」