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インタビュー

Superfly 『Force』

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デビュー5周年を迎えたSuperflyが、4thアルバムを完成させた。昨年のホールツアー及びアリーナツアーのテンションと熱気をそのまま盤に封じ込めるべく、ライヴ時のバンドメンバーたちでバックを固定した、骨太で生々しいロック・アルバムだ。タイトルは『Force』。今までになくギラギラした志帆がここにいる。



とにかくプリミティブなものを作りたかった。もっと暴れる自分を見てみたくなったんです



ゴリゴリのロックライヴアルバムだ。ドライヴしまくるツインギターに、ずしんと重みのあるリズム。骨太で、ヘヴィで、生々しくて、荒々しい。そんなバンドサウンドの上で、感情を剥き出しにしながら志帆が歌っている。Superflyが完成させた4thアルバム『Force』。こんなにもギラギラした彼女に触れるのは初めてだ。

「とにかくプリミティブなものを作りたいと思ったんですよ。『Mind Travel』がわりと穏やかなアルバムだったので、去年のホールツアーをやりながら、もっと暴れる自分を見てみたくなったんですね。もっとギラギラしたい。もっと爆発したい。そういう気持ちがどんどん強くなっていったんです」



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もっと激しく、初期衝動に従ってロックしたい。そんな思いから次作はライヴ盤のようなものにしたいという発想が自然と湧いてきた。1年半かけて作った『Mind Travel』の、これも反動だったかもしれないが、志帆はじっくり丁寧に作るよりも内から湧き上がるエネルギーとロック衝動を真空パックして聴き手に届けたかったのだ。

「ホールツアーにアリーナツアーと、去年はずっとライヴをやっていたので、ものすごくテンションが高くなっていたんですね。それをそのままアルバムに反映させたいと思ったんですけど、このテンションのままで1年以上も制作を続けるのは絶対無理だと思った。だから短期間で集中して作れたのはよかったですね。今回は1発録りの曲も多いんですよ。まさにそこでライヴが行なわれているような感じで録りたかったんです。例えばもっとテンションの高いギター・ソロを弾いてほしいなと感じたときには、私はギタリストの前でお客さんの役をしながら盛り上げたりもしてました(笑)」

 

頭にも書いたが、サウンドは骨太で重厚。これまでなら例えば前作の“Rollin' Days”のように、キース・リチャーズっぽいギターリフで始まって間を活かしながら展開していくストーンズ的なロックが必ず何曲かあったが、今回その手の曲はひとつもない。代わって90年代以降のU2を想起させる曲があったり、ケミカル・ブラザーズ的なデジタル・ビートで始まる曲があったり。70'sロック的な音表現を捨て去り、志帆や作曲の多保孝一がリアルタイムで耳にしてきた90年代と2000年代のロックにアプローチしているようだ。

「今回はいろんな意味で振り切りたかったんですよ。振り切って、もっと自分自身を曝け出したかった。だから作曲の多保くんにも、頭で作るんじゃなくて剥き出しの感情をメロディに反映させてほしいと話をして。今まではサウンド先行で制作していて、どうしても意思疎通をするために昔のロックアーティストの名前がでてしまったりしていたんですけど、今回はもっとリアルタイムで体感したロックを思い出してみよう、と。多保くんなら例えばオアシスを聴いて熱くなってた頃があったわけで、<あの頃の自分を思い出せ~~っ!!>って(笑)。彼も<今の自分にとってのロックとは何か>ということに向き合ってくれて、その結果、濃い曲ばかり集まりましたね」



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幕開けの表題曲“Force”から、2曲目“Nitty Gritty”や3曲目“No Bandage”、それに後半の“Get High!!~アドレナリン~”や“919”といった曲にそうしたふたりのロック感がストレートに反映され、これが<ロックで、ライヴな>アルバムであることを印象付けているわけだが、しかしだからこそミッドテンポやスロー曲の存在感もこれまで以上のものに。例えば“愛をこめて花束を”を超えるほどのスタンダード感を持つ“輝く月のように”や、独特の深みを有した“The Bird Without Wings”。どちらも先行シングル曲だが、こうした曲での志帆のヴォーカルの説得力はとりわけ際立っている。

「アルバムのキーになるこうした曲では、目の前に誰かがいて、その人に語りかけるように歌詞を書いて歌いたかったんです」

 

志帆自身が詞曲の両方を手掛けた静かなピアノバラード“終焉”が、切なく、そして美しく響くのも、そういう理由によるのだろう。

尚、<スタジオライヴのような>このアルバム、初回盤にはなんと実際にライヴ録音された音源が付く。このアルバムを曲順通りに再現したファンクラブツアーの音源がDisc2に収められ、2枚組で発売されるのだ。<『Force』はライヴ盤が完成形>と志帆も言うことだし、これはやはり初回盤を手に入れたいところだ。

■ALBUM……『Force』 9/19 on sale!


■SONG LIST
<Disc.1>
01.Force
02.Nitty Gritty
03.No Bandage (※映画「闇金ウシジマくん」イメージソング)
04.輝く月のように (※ドラマ「サマーレスキュー~天空の診療所~」主題歌)
05.愛をくらえ (※映画「スマグラー~お前の未来を運べ~」主題歌)
06.終焉
07.平成ホモサピエンス
08.Get High!!~アドレナリン~
09.919
10.The Bird Without Wings (※映画「闇金ウシジマくん」主題歌)
11.スタンディングオベーション

<Disc.2> 「Live 4th You」
01.Force (Live)
02.Nitty Gritty (Live)
03.No Bandage (Live)
04.輝く月のように(Live)
05.愛をくらえ(Live)
06.終焉(Live)
07.平成ホモサピエンス(Live)
08.Get High!!~アドレナリン~ (Live)
09.919  (Live)
10.The Bird Without Wings (Live)
11.スタンディングオベーション (Live)
※こちらは初回限定盤、5周年記念生産限定盤のみ収録となります。



■PROFILE…Superfly(スーパーフライ)

2007年にシングル“ハロー・ハロー”でデビュー。今まで発表したアルバムは全てランキング1位を獲得。独自のバンドサウンドで挑戦し続け、志帆の圧倒的なヴォーカル、ライヴパフォーマンス、そしてオリジナリティ溢れる独自の音楽性から現在最も注目を集めているアーティストである。



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記事内容:TOWER+ 2012/9/10号より掲載

カテゴリ : COVER ARTIST

掲載: 2012年09月05日 12:00

ソース: 2012/9/10

TEXT:内本順一