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インタビュー

INTERVIEW(3)——結局、世界は回り続ける



結局、世界は回り続ける



lynch.

――なるほど。スタジオでのセッションで生まれたものなのかと思ってました。歌詞は“LIGHTNING”を引き継いだもののようにも思えますね。〈夜明けは待つものじゃない〉と言っていた流れから、〈朝焼け〉という意味のタイトルにもあるように朝がきたというような。

「なるほど。でも、タイトルは最後に決まったんですよ。歌詞はもともとメッセージ性のあるものにするつもりはなくて、ほんとに情景描写みたいな、曲からくるインスピレーションで絵を描くみたいに書こうと思ってたんですね。だからAメロはそういった感じなんですけど、書いていくにつれてどんどん変わっていって、結局これも外に向けたものになった。結果論ですけど、自分のモードがそっちに向いてるのかなと思いましたね」

――ただ、朝は現実を見せつけられる瞬間でもある。〈何気なく流れる日々はこんなにも死に溢れて〉などの一節からも具体的な光景が見えてきそうで……。

「まさにいじめのニュースがすごく多い時期だったんで、それが自然に出てきたんだと思うんですよね。あんまり軽くは言えないですけど……すごく悩んでいる人に、〈大丈夫だよ、悩もうが悩むまいが、結局、朝はくるんだ〉という言い方もありつつ、もう一方では〈人が一人死んだぐらいでは何も変わらない〉ということも思いつつ書いてはいましたね」

――人が一人死んでも何も変わらないというのは、どういった意味合いなんでしょう?

「結局、何もなかったように世界は回り続けるということですね。その人の周りではさすがに変わると思うんですけど、これだけいじめが問題になっていて、命を落とす子がいたとしても、実際それをどうにかしようと行動に移す人はごく僅かだろうし、だいたいの人はニュースを観ておしまいじゃないですか。それぐらい無常な世の中なんだけど、その痛みを洗い流すような朝をもたらすのもその世の中であって。そこはループになっちゃうんですけど、ちょっと遠いところから、そういった物ごとを無責任に見ている僕です」

――無責任と言ってはいますが、おそらく応援歌のようなものなんでしょうね。

「そう捉えてもらえるといいですね。大丈夫だよ、みんな困ってるよって」

――そういった悩み、苦しみを持っている人たちからの手紙なども寄せられるでしょう? 歌詞を書くうえで、それが思い浮かんだりもしました?

「いままではまったくなかったんですけどね。いまもその手紙なりメッセージを受けて書くということはないんですけど、自分なりの意見を書いているなかで思い出すことはありますし、それによって、言い回しがそっちを向いたりすることはありますね。書く意欲が湧きますよね、思い出すと。〈こんな子がいたなぁ。じゃあ、その子に届くようにしたいな〉とかは確かにあります」

――最後に〈さぁ 窓をあけて 世界は美しい〉と言い切る潔さも印象的ですよ。これ以上の言葉はないような。さて、10月下旬からは全国ツアー〈「THE FATAL EXPERIENCE #2」―SEIZE THE MOMENT―〉が始まりますね。今回のシングルの2曲は当然、披露されることになると思いますが。

「もちろん。いまは次のアルバムに向けた作業もがんばっているので、できることなら、今回のツアーでまっさらな新曲もやりたいなぁと思ってるんですけどね。夏のツアーとタイトルが同じなだけあって、趣旨的には変わらないですけど、キャパ的には〈小〉から〈中〉になってるんですよ。あのときの危険な感じを、この規模の会場でやりたいですね」




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掲載: 2012年10月24日 18:01

更新: 2012年10月24日 18:01

インタヴュー・文/土屋京輔